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千雨の幻想
4時間目
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解はしているが、自身が経験した恐怖や怒り、くやしさがなくなるわけではない。
 理性で理解しても、彼女の感情がそれを許さない。
 彼女の魔法使いたちに対する第一印象はとてつもなく悪いといえるだろう。

「まあ、今のあいつなら千雨でも勝てるでしょうけど、全盛期なら無理ね、私でもあれなしだと手こずるもの」

 そうね、と彼女は続ける。

「何もしなければあちらも何もしないだろうけど、ちょっかいをだすなら覚悟した方がいいかもしれないわね、……咲夜ー!」

「ここに」

 レミリアが声を上げて名前を呼ぶと、彼女のすぐそば、今まで誰もいなかった空間に一人の女性が現れた。
 ”電光石火のメイド”十六夜咲夜。
 紅魔館においてメイド長という地位に就く彼女には時を操る能力をもつ。
 その力をもってすれば魔法のように急に現れたり消えたりするのも造作もないことだった。

「紙とペンを持ってきて、あと封筒も」

「どうぞ」

 とレミリアに言われたものすべてをその場に差し出す。

「今から手紙を書くからあいつに渡しておいて、いつ渡すかわ千雨に任せるわ」

 そう言って紙に羽ペンを走らせる。

「その間長谷川様は、こちらでも」

 彼女は千雨の前に紅茶の入ったティーカップを差し出す。

「ああ、ありがたくいただくわ」

 そのあと、レミリアが手紙を書き終わるまで紅茶を楽しみ。それでも書き終わらなかったため地下の大図書館へ足を運んだのであった。



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