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千雨の幻想
4時間目
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考えがあるようだし詮索はしないさ、じゃあとりあえず」

「はいよ」

 と千雨は鞄からいくつか物を取り出し、机に並べる。
 それは古い携帯電話、ポケベル、古びたラジオ、スライム、懐中電灯やブリキのロボットなど共通点は皆無なガラクタを並べていく。

「毎度悪いな、こんなものしか持ってこれなくて」

「いいや十分さ、外の世界のものは貴重だからね、君や宇佐見君が持ってきてくれるようになってから外の品に困ることはなくなったさ」

 そう言って店主は笑う。

「じゃあ、ありがたくもらってくわ」

 千雨はそう言い残し、香霖堂から立ち去る。
 彼女が次に向かったのは霧の湖のそばに建てられた深紅の館。
 紅魔館であった。



「こんばんわ、レミリアさんに会いたいんだけど」

「あら珍しい、貴方がレミリアお嬢様に会いに来るなんて初めてじゃない?」

 ”華人小娘”紅美鈴。
 紅魔館の門番である彼女は千雨を中へと招き入れる。

「ああ、ちょっと外で吸血鬼に会ったんでな、レミリアさんなら何か知ってるんじゃないかと思って」

「なるほど、確かにお嬢様ならご存知かもしれませんね」

 そこから二人、世間話に花を咲かせながら真っ赤に彩られた廊下歩くこと数分、とある扉の前に到着した。

「お嬢様、お客様がお見えになりました」

「通しなさい」

 幼い少女の声が聞こえると美鈴は扉をゆっくりと開ける。

 応接間の奥、広めのソファーに腰を掛け優雅にこちらを見つめる少女が一人。
 彼女こそが”永遠に幼い紅い月”レミリア・スカーレットである。
 幼い見た目に反しその実齢500を超えるその吸血鬼は片手をソファーに向け、千雨に腰かけるように促す。
 千雨はそれに従い、ゆっくりと腰かける。

「久しぶりね千雨、前会ったのはいつだったかしら?」

「ちょっと前の宴会以来ですね、私はすぐに帰っちゃいましたけど」

 次の日テストだったし、と補足する。

「それで、千雨は何を知りたいのかしら?」

「レミリアさんはエヴァンジェリン・A・K・マクダウェルという吸血鬼を知っていますか?」

 その名を告げると、レミリアは少し驚いたように言う。

「へぇ、あいつの名前を聞くことになるとは思わなかったわ、どこであったの?」

「……私のクラスメイトです」

「…………はい?」



 〜少女事情説明中〜



「あははははははははは!!」

 事情を聴き終えたレミリアはおなかを抱えて大笑いし始める。

「そうそう簡単に死ぬようなやつじゃないとは思ってたけど! まさかそんなことになってるなんて!」

 そう言っては再び笑い始める彼女が落ち着くまで数分かかったという
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