85部分:TURN8 レーティア=アドルフその九
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字だ」
宇垣は己の希望も口にした。
「あの国務長官も考えをあらためればな」
「そうですね。いいのですが」
「強硬路線ではなく」
「共和党はいいのだが」
宇垣はガメリカの政党のことも口にした。ガメリカは議会制民主主義なので政党というものが存在する。彼が今言うのはガメリカの二大政党のうちの一つについてである。
「今の民主党はな」
「そうですね。中帝国寄りで日本を敵視する傾向にあります」
「特に今は」
「前の大統領は日本を刺激しなかったのですが」
「今の大統領は違いますね」
「元々家自体が中帝国と縁が深いからな」
今のガメリカ大統領の家、それ自体がだというのだ。
「そしてそのうえだ」
「民主党には中帝国からの移民の支持者も多いです」
「それもありますから」
「だからだ。どうしてもな」
「しかも四大財閥が全て日本を敵視する様になっています」
「悪いことに」
「全くだ。何とかしたいものだ」
宇垣はその眼鏡の奥の目を深刻なものにさせて述べた。
「まことにな」
「そうですね。本当に」
「今の苦境を」
彼等は日本のことを心から考えていた。その為に今ドクツと手を結んだのである。
そしてその日本帝国の面々を見ながらだ。レーティアが演説するその横に席を用意されているドイツはだ。こうプロイセンに囁いたのだった。
「俺達は知っていたがな」
「ああ、同盟のことだな」
「随分と思い切ったことをされる」
「けれどこれで孤立はなくなったぜ」
プロイセンはこのことを素直に喜んでいた。
「俺も日本との同盟は驚いたがな」
「そうか。相棒もか」
「ああ。けれどそれでもな」
「ドクツは雄飛する」
ドイツもだ。このことを今は確信できた。そのうえでの言葉だった。
「あの方と共にな」
「まさにあの方は俺達の救世主だな」
プロイセンはシニカルなもののない笑みでだ。レーティアを見ていた。
「やれるぜ。世界の新秩序の建築はな」
「うむ、間違いない」
こう言い合いだ。二人もレーティアを見ていた。まさにだ。レーティアはドクツそのものになっていた。ドクツはその彼女と共に大きく動いていることは間違いなかった。
TURN8 完
2012・3・7
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