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真田十勇士
巻ノ百十四 島津忠恒その一
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と思いました」
「あれが七十七万石の城かと」
「まことに」
「武田家を思い出すのう」
 幸村はまだ元服するかしないかの幼い頃も思い出した、その時に仕えていた真田家のことを。
「武田家は大きな城を持っていなかった」
「はい、城は築かれていましたが」
「それでもですな」
「本城はなく館で」
「実に小さき場所だったとか」
「そうであった、人は城であり石垣であり堀でな」
 国にいる者達こそがというのだ。
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