蛇足の部 秋山殿とストーカー
【特報】秋山殿、ストーカーを撃破す!
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手紙はやむ気配もない。もはや毎日送られてくる趣味の悪いアニメ絵封筒を見るたびにげっそりする優花里。しかもそれはどんどん山と積まれていく。
思いあまった優花里は、みほに相談した。
「優花里さん。ファンレターにコミットしてはいけない理由、わかった?」
「西住殿ぉ〜、私はどうすればいいんですかぁ」
「こうすればいいのよ」
みほは、生徒会室にあるシュレッダーに未開封の悪趣味封筒を片っ端から放り込む。
「優花里さん。いままでやりとりした分も処分しようね。
まさかメアドとか教えてないよね?」
「……さすがにそこまではやっていません。
向こうからメアドとか住所とか教えてくれって書いてきましたが、思いとどまったであります」
「うん。だったらOK。
じゃああとひとつ、やっておくことがあるから」
西住殿は秋山殿をともなって、学園艦内の郵便局本局に出向いて角谷が書いた依頼書を提出し、「大洗女子学園内秋山優花里殿」という宛名の郵便物には「あて所に尋ねあたりません」という正規のゴム印を押して返送するようお願いしてきた。
その後何回か学園宛てに「普通U科2年秋山優花里の在籍証明」を問い合わせる書面やメールが何通か送られていたが、角谷は「存否応答拒否情報」に当たるとして却下。
ざっくり言えば「イエスでもノーでもない」と回答した上で、伊号戦車のリモートホストを「アクセス禁止」にしてしまった。
こうして、大洗動乱が終わって秋が深まるまでには、誰も彼も伊号戦車のことは、完全に忘れ去っていた。しかし本人と言えば「これは誰かの陰謀で、自分は偏見で差別されている」という思い込みをいっそうこじらせていった。
そして、角谷執行部は生徒会から引退し、そのあとを五十鈴執行部が引き継いでからのこと。
年度切り替え前の3月下旬に伊号戦車は、なんと大洗学園艦に住所を移した。
海上の大洗女子学園艦内では有線のデータ通信網が使えないため、入居者用のサービスとして無料のWi-Fiが船内すべての場所で使える。それを逆用しようとしたのだ。
生徒会副会長の秋山優香里には、当然公用のアドレスが割り振られ、外部に公開されている。
初めは伊号戦車は「ダイレクトメールを装ったメール」を発信し、それが確かに優花里のアドレスだったと確認するや、フリーメールを使ったなれなれしいメールを発信し始めた。
優花里の頭痛の日々が再び始まった。
幸いにも例の「補助金と新型戦車」の問題は、すでに内部的な解決を見ていたから良かったものの、優花里が激しく苦悩していた時期にそんなことになったら目も当てられなかっただろう。
最初はやはりリモートホストを遮断しようとプロバイダを探してみたが、それは大洗女子自体のキャリア業者だった。つまり敵は船内の
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