第四章
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「そう言っています」
「馬鹿な、降る筈がない」
マッテウッツィはその下士官にすぐに返した。
「何があろうとも」
「ここではですね」
「ここは乾燥地帯だし」
砂漠とまではいかないが乾燥帯にあるのは確かだ。
「水の確保も気にしないといけない場所だよ」
「だから雨はですね」
「この辺りの年間降水量も調べたけれど」
マッテウッツィはそうしたことも調べていたのだ。
「滅多に降らないよ、特に今月は」
「乾季ですね」
「その真っ只中にあるよ」
「大雨なんてですか」
「絶対にないよ」
こう言うのだった。
「それはね、水もわざわざ補給しているじゃないか」
「そうですがね」
「パスタを茹でてシャワーも浴びないといけないからね」
二次大戦の時北アフリカでイタリア軍はパスタを茹でていてドイツ軍に驚かれていたというがその話通りにというのだ。
「沢山補給しているけれど」
「それでもですか」
「そうだよ、雨はね」
とてもとだ、マッテウッツィは下士官に真面目な顔で述べた。
「降る筈がないよ」
「そうですか」
「断言していい、しかしその現地の人は何でそう言ったのかな」
「かなりのご老人でして」
「じゃあこの場所に長く住んでいるからかな」
「わかるそうです」
雨が近いことがというのだ。
「それで、とのことです」
「まあ現地の人達の言うことはわかるけれど」
「それでもですか」
「降る筈がないよ」
「そんなに降水量が少ないんですか」
「そう、特にこの月は全く降らない」
そう言っていいまでに降水量が少ないというのだ。
「大雨なんて絶対にないよ」
「そうですか」
「だから雨への対策はね」
マッテウッツィは安心しきって言い切った。
「しなくていいよ」
「だといいですが」
下士官はデータ通り、そして乾燥帯でのマニュアル通りの対策しかしないマッテウッツィに言った。マッテウッツィは大雨なぞ降る筈がないと思っていた。
しかし三日後だ、何とだった。
朝から雨が降った、しかも。
熱帯のスコールを思わせる雨だった、マッテウッツィはその大雨を見て仰天した。
「何っ、大雨!?」
「何だこの大雨は!」
「急に降ってきたぞ!」
「早く何とかしろ!」
「基地が水浸しになるぞ!」
「物資も兵器もだ!」
「濡れない様にしろ!」
これまでは熱気や砂への対策はしていたが雨への対策は考えていなかった、それでだった。
彼等は必死にそちらの対策をしようとするが。
マッテウッツィは呆然となっていた、その大雨に。それで動きも止まりかけていたがその彼にだった。
レオンカヴァロが即座にだ、強い声で言った。
「兵士達にコートだ」
「あっ、はい」
マッテウッツィもここで我に返った。
「そう
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