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響け!全国へ!
第二章 鈴木と鈴木
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と言いかけたがやめた。

 放課後、音楽室
教室には1年生48人が座りその前で久美子先輩、加部先輩が立っている。
「こんにちは」加部先輩がかけた声に1年生部員が挨拶する。
「仮入部の説明会の時に紹介したけど一応もう一回言っとくな、1年生指導係の加部友恵と黄前久美子ちゃんや!よろしくな」
「では、これから皆さんにいくつかプリントを配ります。部内でのルール、今後の日程、それとサンフェスの時に着る衣装の申込書など全部で9枚あるので注意して下さい」プリントを配布し、1枚ずつ内容を説明していく。
「まず、一番初めにある行事が5月にあるサンフェス、正式名称はサンライズフェスティバルです、サンフェスはパレードなので来週の土曜日からグラウンドを使って行進の練習を行います」
「うちが手とり足とり教えてあげるな〜」加部先輩が手をひらひらさせながら言う。
「コホン、それ以降のおおまかな流れは府大会が8月上旬、関西大会が8月末、全国大会が10月下旬です」一通り喋り続けた久美子先輩がふぅ…と一旦息をつく。
「では、最後に1点重要なお話です。コンクール前に行われるオーディションについてです。コンクールには複数部門があります。ここ、京都の場合A,B,小編成の3つで、北宇治高校が参加するのはA部門とB部門です。A部門の規定人数は55人、今年の部員数は94人でオーバーしているのでオーディションを行うことになっています。顧問である滝先生と松本先生の前で1人ずつ演奏することになります…では、ここまでで何か質問ある人」
規定人数が55人で部員が94人…39人が落ちる、決して楽に通れる門ではない。
後ろの方の席で手が挙がる。
「どうぞ、鈴木さん」
「メンバーを決める際、実力以外のものが考慮される可能性はありますか?」
「それはどういう…」久美子先輩の表情が少し強張る。
「つまり学年や人間関係によってAメンバーに選ばれる可能性があるのかということです」それを聞いた久美子先輩はちらりと加部先輩を目で伺っていた。
それに気づいて肩をすくめ前に出る。
「その質問にはうちが答えます。そういう質問…というか疑念を持つのは仕方ないことだと思います…でははっきり言います。メンバーは完全に実力で選ばれます、なので皆さんはしっかり練習して技術を高めてください」それは断言だった。

 15分後 低音パート練習教室
1年生より少し遅れて戻ってきた久美子先輩にみんながおつかれと声をかける。
そして席に着くと中川先輩が
「おかえりー!久美子、ミーティングちゃんとできた?」
「自信はないですけど…一応は上手くできたと思います」
「私もそう思います」
「僕もそう思います」ハモった…。そのせいかこちらをムスっと睨んできた。
「あ…悪い」
「別に…謝られることではないですよ」

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