遺体のない葬儀編-4-
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「もうっ、リオンちゃんたらツンデレなんだから〜。ツンツン」
人差し指の先で頬を突いてくるリアと呼ばれた女性の手を払いのけリオンは嫌悪感を露にした表情で
「気色悪いんだよ!!」
言うので仕方なくリアは突くのを止め、不満そうに唇を尖らせ
「えー、駄目なの? 今流行りの小悪魔系女子なのに?」
はぶてた少女のようにぷくっと頬を膨らませ、目を軽く潤ませて言う。
「小悪魔系女子って……あのな」
呆れ気味に大きな溜息をつくと
「そもそもお前は男だろ」
きっぱりとそう言った。
「……はい?」
きっぱりと聞きなれない、いや意味は知っているがイマイチ理解できなかった単語が混じっていたためルシア達は目が点となる。
ぽかんと口を開け、効果音で言うと点が三つ並んでいる、そんな感じだ。
「クスクス」
その姿を見てレオはお腹を抱えて大笑いしたいのを必死に堪えて失笑している。
「んー?」
周りの様子が可笑しい。
その事にようやく気が付いたリアはぽかんと口を開けて固まっているルシア、シレーナ、ランファの顔を一人一人順番に見つめ。
「なるほどっ!」
分かったぞ! ハッとした表情になりぽんっと握りしめた拳を手のひらで受け止め叩いた。
「自己紹介がまだだったな!」
うん……そっちじゃない。と、心の中でツッコミを入れるルシア。それを言葉にして言う事は出来ないので目で訴えるが、彼女(……でいいのだろうか)には届かなかったようだ。
長い銀色の髪をさらりと手で払い
「やあ、初めまして。俺の名前はリア・ハドソンだ。
ん? 違う違う俺ッ娘じゃなくてれっきとしたお・と・こ!」
自己紹介、そして一人二役の聞いてもいない衝撃的な事実を添えて教えてくれたのだった。
ルシア達のぽかんとした表情はみるみるうちに青ざめてゆき、驚愕のムンクの叫びのようなものへと変化してゆく。
その表情を見てもう堪えきれなくなったか、レオは声を大にして大笑い。
なんでルシア達がそんな表情をしているのか、レオが大笑いしているのか、リオンが額に手首を当てやれやれと呟いているのか、全く分かっていないリアはきょとんとした表情で首を傾げていた。
……数分経過。
色々な意味で状況が理解し整理できたルシア達は、気を取り直して自分達も名前を名乗った。
相手にだけ名乗らせて自分達は名乗らない、と言うのは失礼だから。
ここへ来た目的は街探索と読書家のシレーナが新たな本とも出会いをする為。
だがせっかくこんな大きな街に来たのだ、攫われたヨナの手掛かりが何か無いか二人と一匹に訊ねてみることにした。
運が良ければ有力な情報が手に入るかもとわずかに期待しながら。
「へー、そんなことがね」
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