暁 〜小説投稿サイト〜
真田十勇士
巻ノ百十三 加藤の誓いその十一

[8]前話 [2]次話
「だからこうして話しておるしな」
「左様ですな」
「ではです」
「後はお任せ下さい」
「是非」
「そうさせてもらう」
 こう言って約束するのだった。
「お主達にも託すぞ」
「それでは」
「我等も果たします」
「その務めを」
「その様にな世を去れば」
 こうも言った加藤だった。
「また佐吉達と会うのう」
「石田殿、大谷殿と」
「そうなりますか」
「そしてその時は」
「今度はな」
 死んでからはというのだ。
「もういがみ合いたくないわ」
「あの時と違って」
「穏やかにですか」
「そうなっていたいですか」
「今度は」
「そう思っておる」
 実際にというのだ。
「今になってわかるわ」
「あの時のいがみ合いのことは」
「そうなのですか」
「わしは愚かであった」
 悔恨の言葉であった、明らかな。
「だから今度はな」
「穏やかに」
「そうされますか」
「あの方々とも」
「必ずな」
 こう家臣達に話した。
「そう誓う」
「では」
「後のことはですな」
「最早」
「憂いない、何もな」
 加藤は澄み切った顔で家臣達に言った、そうして後は何も言わなかった。そこには一抹の不安もなかった。


巻ノ百十三   完


                 2017・7・1
[8]前話 [2]次話


※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりをはさむしおりを挿む
しおりを解除しおりを解除

[7]小説案内ページ

[0]目次に戻る

TOPに戻る


暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ

2024 肥前のポチ