第10話 魅せられる英雄
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う醜態を晒すとは、私もまだまだお前を甘やかしていたらしい」
「ふ、ふぇええ?あ、甘やかす?」
聞きづてならない言葉に滂沱の涙を止められたものの、本日最大の戸惑う様子を見せる一子。
それはそうだ。一子はスカサハの弟子になってから一月あまり、甘やかされた事など一度たりとも無い。
だと言うのにスカサハは一子を甘やかしたと言った。
だが矢張りそれはあり得ないのだ。その日の稽古と鍛錬が終わる直後に何時も気絶する。
そして藤村組の組員、或いは士郎に送ってもらう日々だった。
にもかかわらずあの苦行の日々が甘やかされていたなんて到底認められる筈が無かった。
それなのに、
「常に限界以上を引き出す為、お前には限界以上+αの五乗位のレベルの稽古を続けている。僅かでもまた腕を上げたと思ったらそれを基準にまた増やしている稽古体制を敷いていたが、矢張り遠慮などするべきでは無かったのだな」
――――え、アレで、ソレで遠慮?
「そう言う意味で言えば、今回の戦いでお前が勝てなかったのは私の甘さでもある。本当にすまなかったな」
「えっ、あっ、いっ」
「だが次はもうない、次は戦闘の最中に姉の憧憬などでない位に、その手の感情と感動を磨り潰すから安心すると言い」
「は、はい?」
今も直困惑を続ける一子に、アイアンクローで彼女の頭を掴み上げるスカサハ。
「我が不肖なる弟子よ。最早私からお前に与えられる助言と言う名の慈悲は一つしかない」
「え?え?え??」
「死ぬな」
「ひっああああああぁあああぁあああああああああああッッ!!?!?」
今まで見た事も無いスカサハの貌に、過去最大級の悲鳴を上げる一子。
最早絶体絶命と覚悟した時、扉が開かれ空気の読めない男が堂々と入って来た。
「ハハハハ!レディ、アルバ並びにサムライガール、一子は此処ですかな?本日は一子のためにと、材料さえ揃えば30ミニッツであら不思議!ホールケーキ自動作成機を完成させたのです!これを量産化させれば売れること間違いなし!」
随分と暇な――――融通の利く発明王である。
エジソンは別にホールケーキ自動作成機になどに時間を費やしていなかったのだが、一子が英雄のクローンの筆頭武士に挑むと言う事を聞いて、急遽朝から先程まで作っていたのだ。
だから量産化と言うのは一子に気を使わせないための嘘で、何が言いたいかと言うと、
「このホールケーキを囲って皆で楽しく分け合えば、元気も出ると言うモノ!立ち止まってもいい、転んでもいい、そして諦めないで再び顔を上げればよいのだ!だからこれでも――――」
勝利したならケーキを食べながら祝福し、敗北したならケーキを食べながら慰める
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