第10話 魅せられる英雄
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恐怖に打ち震えていた。
勿論理由は義経に負けた報告だ。
誰に?
それも勿論一子の現在の師であるアルバと名乗るス・カ・サ・ハにだ。
「――――なるほど。最初は押していたが途中から自分の戦法に慣れられてしまい、徐々に押されるまでに逆転されて最後には薙刀を弾かれてから剣先を突き付けられて負けたか・・・・・・」
「はい・・・・・・」
死刑判決を待つように頭を垂れ続ける一子。孤立無援状態である。
本来であれば自分を励まして此処まで付いてきた京とクリも同席していた所なのだが、師匠の顔を見て初めましてじゃない事には気づきつつも、師匠の威圧感に怯え恐怖して見捨てられた格好となっている。
そんな友人に見捨てられた子犬に、現実――――と言うかスカサハが追い打ちをかける。
「それで、本当の話はこれからするのか?」
「は、はい?」
「この状況で冗談が言えるとはなかなか度胸があると褒めたいところだが、私が聞きたいのは事実だ。で、如何なんだ?」
「そ、そんな、アタシが師匠に冗談なんて――――」
弁明しようとした所で一子は気付く。
まだ一月ほどだが、今まで自分が口にした言葉を疑う様な事を師匠はしたことが無かった。
だがそれは、一切偽らず嘘を言わなかったからだ。
しかし今は如何だ?恐ろしさのあまり、敗北した事以外は事実無根である。と言う事は、
(まさか?まさかまさかまさかまさかまさかまさかまさか、まさか・・・!?)
(すでに事情を知られている?)
それは非常に不味い!今すぐ説明を間違えたと伝え
「シーマから全て聞いている。最初はこそは互角で徐々に押していたのに、その途中で一瞬だけ大きな隙を作って敗北したと。――――どうせお前の事だ。勝利を目前に意識が昂ぶり過ぎて川神百代の勝利する姿を幻視し、隙を作ったと言った所か」
「ど、如何してそんな事まで・・・!?」
「如何してそんな事まで・・・・・・か。つまり、師である私に虚言を弄したと認めるんだな?」
「あわわわわわわわわわわわ・・・!?」
スカサハの軽い圧に怯え戸惑う一子。
恐怖に振るえる豆柴姿に、スカサハは僅かに口角を釣り上げるように笑う。
「まさかこの私に虚言を弄して騙くらかせると本気で思っていたとは実に愉快な話だ。何時の間にそこまでの度胸がついていたとは――――師として嬉しく思うぞ川神一子」
「ひぃいいいいぃいいいいいぃいいいい!!?」
最早我慢できぬと言わんばかりに、一子の瞳から本日二度目の涙の滂沱が発生した。
しかしそんなものは予想の範疇のスカサハは、笑顔から一転して真剣な表情になる。
「戦いの最中に憧憬を幻視するなどと言
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