第10話 魅せられる英雄
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立つシーマは、唯一怯まなかったリーダー格の虚無僧笠を睨み付ける。
「よくもやってくれたな。覚悟は言いな、ド外道・・・!」
「ふむ。背後のお荷物どもを庇いながら斬り合うと?」
「・・・・・・」
「ッ・・・!」
醜態を見せた義経は何も言えずにシュンとするだけで、弁慶も悔しそうに唇をかむ。
しかしその言葉にも怒りをみせるシーマ。
「我が友人達を荷物と侮蔑するか、ド外道・・・!貴様には一片の慈悲も与えん――――と言いたい所だが、余は貴様らと違い寛容だ。唯一与えられる慈悲として忠告しておく。精々頭上に注意するのだな」
「!」
瞬間、音も無く矢の雨が降り注ぎ、源聖大和国の構成員が次々に射られて倒れていく。射貫き殺したのではない。気で尖端をコーティングして気絶させるだけに留めている。
勿論この矢の雨を降らせているのは他でもない士郎だ。
その矢の雨の被害を受けているのは有象無象の構成員達だけでは無い。八聖衆の面々もシーマの助言と勘でギリギリ気付いて防御したが、防ぎきること叶わず意識を刈り取られた。
唯一防げたのは矢張りリーダー格の虚無僧笠。
この男は直前で直に現場指揮官の近くまで下がって、自分と現場指揮官の2人分矢を切り払った。
そして士郎の射撃は今も続いている。
勿論狙いは今も全ての矢の雨を切り払い続けているリーダー格の虚無僧笠だ。この男は一切の無駄なく、合理的な剣捌きと体の動きで、士郎の狙撃を完璧に防ぎ続けている。
「衛宮士郎か。気付かれる前に事を成し遂げたくはあったが仕方あるまい」
撤退しようとする気配を感じたシーマが冷酷に言う。
「逃がすとでも?」
「当然逃げるとも。この状況で貴様とこの矢の雨だけなら防御に徹し続ければ、この場に留まり続ける事も叶おうが、防戦するだけの逗留など無価値であろう。加えてあと十秒も数えぬうちに殺戮執事と武神、川神院師範代なども集まるだろうからな」
「ならば尚更逃がす気は無いが」
「追うと言うなら構わぬぞ。追いつかれた時は最低1人は刺し違えてくれる」
「む!」
リーダー格の虚無僧笠が初めて殺気を見せる。
その殺気は今も直、冷静に合理的に矢の雨を対処し続けている同一人物とは思えないほど狂気じみたものだった。
だがシーマが緊張で顔のこわばりを見せて返答する前に、リーダー格の虚無僧笠は未だ怯んで立ち上がれていない現場指揮官を空いている腕で抱きかかえ、瞬時にその場を後にする。
それを追いたいところだが、4人を守るために敢えて深追いせず士郎の狙撃に任せて留まる事を選んだシーマ。
それから数秒後、気配で感じていた通りヒュームと百代、それに僅か遅れてルーが到着した。
「クラウディオ!」
「執事さ
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