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衛宮士郎の新たなる道
第10話 魅せられる英雄
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一を残して逝く事。
 他にも実に多くの事を後悔し、成し遂げられなかった事を無念に思っているが、何よりも無念に思っているのが剣士として自分など足元にも及ばないと知ったクラスメイト、シーマとの別れである。
 彼ともっと意見を交わすべきだった、彼ともっと接するべきだった、彼に剣術を師事すべきだった。
 シーマに対して実に多くの無念が膨れ上がっていた。
 だがそれでも今唯一つ叶うなら――――。

 (最後に一目、シーマ君に会いたか)

 その時異変は起きた。
 もうあと僅かで自分の瞳を刺し貫く筈だった凶刃が自分から離れて行ったのだ。
 否、離れて行ってるのではないし、勿論虚無僧笠のリーダー格が寸止めしたわけでもない。
 離れて行ってるのは義経の方だ。
 しかし義経自身の意思と力では無い。外部からのモノだ。
 その答えは彼女の斜め後ろに、たった今到着した存在――――シーマだった。
 シーマは何よりも優先して凶刃から義経を引き剥がす為、彼女の首袖を掴んで自分の後ろに引き寄せて庇い、ほぼ同時にある程度義経と凶刃を引き剥がせた所で霊体化させていた自分の剣でリーダー格の刀を切り上げる様に払ってから蹴りを入れる。
 それをリーダー格の虚無僧笠は空いていた片方の腕で防ぐが、衝撃を完全には抑える事に至らずに僅かに吹き飛ばされる。
 シーマはその隙に斬撃で義経を攻撃していた八聖衆の3人に対応・牽制し、振り返り即座に迷うことなく百代と戦った時の様に剣をブーメランのように弁慶と八聖衆の4人の間へと投擲して引き剥がす。
 これに4人は後方に下がってから虚無僧笠越しにシーマを睨み付ける。もう少しで義経を屠れる筈だった為に他の3人に指揮官の護衛の為の残り1人も同様だ。
 だがシーマはそれを圧を籠めて逆に睨み返す。

 「この外道共が・・・!」
 『「『「『「『「『「ヒッ!!?』」』」』」』」』」
 「「「「「「「「「ッッ・・・・・・!」」」」」」」」」

 クラウディオの結界が切られた事により、漸く身動きが取れるようになって立ち上がろうとしていた黒服の構成員達は全員シーマのプレッシャーに悲鳴を上げて戦意喪失し、八聖衆の面々と現場指揮官も有象無象の構成員達程ではないが全員怯む。

 「・・・・・・・・・・・・」

 唯一恐れず怯む事も無いのがリーダー格の虚無僧笠。
 クラウディオの再評価は正しく、矢張り尋常ならざる使い手の様だ。

 「ヨシツネはクラウディオ・ネエロを頼む。ベンケイは車内のモンシロを守ってくれ」
 「う、うん・・・」
 「分かった」

 先程まで死の直前に立たされていたので、未だに頭がちゃんと機能していないながらもシーマの指示に従う義経と、義経が助かった事に安堵しつつ同様に指示に従う弁慶。
 計4人を庇う様に
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