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衛宮士郎の新たなる道
第10話 魅せられる英雄
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 「止めなくて」

 最早迷っている場合では無いと、ジャンヌは言うと同時に隠れていた場所から飛び出して第一校舎の屋上まで跳んで行こうとするが、

 「邪魔をするな、サーヴァント、那須与一。状況をよく見ろ。お前の守るべき相手の危機なんだぞ」

 気配探知でサーヴァントの存在に気付いた時は正直驚いた士郎だったが、今の最優先は別にある。
 対して与一は士郎に大声で食って掛かる。

 「何言ってやがる!お前も“組織”の一員のくせに義経を狙」
 「マスター!義経達を見て下さい!彼女たちが危ないッ!」

 与一よりも幾分冷静だったジャンヌは、冷静な士郎の言葉に疑いながらも義経達の現状を見たのだ。
 その自分のサーヴァントによって士郎への抗議を遮られた与一は、渋々ながら直に義経に眼を向けると、今まさに虚無僧笠達の1人の凶刃が義経の眼を貫こうとしている最悪の光景だった。


 −Interlude−


 義経は今、自分の無力さと不甲斐なさに失望していた。
 傲慢な考えと指摘を受けるかもしれないが、疲労した程度で膝が折れかけて襲撃者たちの攻撃に防戦一方となっている現状と、クラウディオさんを守れずに傷を負わせてしまった事に。
 そこでシーマの事をふと思い出す義経。

 ――――きっと、あの人なら。
 ――――きっと、彼なら。
 ――――きっと、シーマ君なら。

 こんな逆境、容易に覆せるだろう。そもそもクラウディオさんに傷を負わせずに守れただろう。襲撃者たちをたった1人で無力化してこの場を抑えられただろう。
 そう思えるほど、義経の中でシーマは大きな存在になっていた。
 どれだけ弱ろうと不屈の精神で耐えていた義経は、そう考えていた。

 「ぐっ!クッ!――――え・・・・・・?」

 ――――直感が働いたのか、そこでふと横へと顔を向けると、目の前に自分を刺し殺そうとする凶刃が眼前に迫っていることに気付いた。
 一切の殺気も足音も聞こえなかったにも拘らず、直感により気付けた義経は流石と言えよう。
 しかし如何せん、気付くのが遅すぎた。
 これでは如何に源義経であろうと回避は間に合わない。
 絶体絶命の中、義経自身もこれは無理だと、まるで人ごとのように諦めていた。
 同時に、

 (あー、これが走馬灯と言う奴か)

 死が目前に迫っている事で、義経は走馬燈を追体験していた。
 全ての動きが全ての音が遅く見える、聞こえる。
 この超低速の世界で、義経は多くを後悔している。
 多くの人を魅せて活気づける武士道プランの筆頭としての役目。それを成せずに終わる事。
 小笠原諸島出発時にはバタバタと忙しく、里親である両親とちゃんと挨拶できなかった事。
 姉妹同然に育ってきた弁慶や清楚、それに与
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