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衛宮士郎の新たなる道
第10話 魅せられる英雄
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なり、那須与一を自分と同じように隠れる様に抱き寄せた。

 「なんだよ、おっ!?」
 「少し静かに、隣の第一校舎屋上に衛宮士郎が来ました」

 ジャンヌと那須与一にとっては士郎も警戒対象だ。
 理由はシーマのマスターとしての嫌疑である。少し尾行して同じ家に在住していたから仕方ない事と言えた。
 ジャンヌは隠れながら如何するべきか迷っているが、与一はそれどころでは無かった。

 「ジャンヌ、ぁ・・て・・・ぅ」
 「何でしょうか?」
 「だから当たってるんだ!それに近ぇええ!」

 音量を押さえながら怒鳴ると言う器用なことして見せる与一。ついでに頬も染めて、ジャンヌの顔から逃れる様に顔も背けている。
 しかしそれも仕方なき事。
 別に狭い空間にいる状況でもないのに、何故か2人は今ほぼ抱きしめ合っているのだから。
 互いの顔はほぼ眼前にあるし、ジャンヌの双丘は当然の様に与一の胸にがっちり当たっている。
 与一は今まで女と一緒に登校するなんて恥ずかしいと言う理由で、義経や弁慶と共に登校するなどを断って来たが、本当の理由は無自覚な照れであり、男をやめた覚えはない。
 今回もそうだ。この状況で男として反応するなと言うのが無理らしからぬ事。まだまだ思春期も抜けてないのだから尚更だ。
 だが怒鳴られているジャンヌは理解できていない様子だ。
 ジャンヌは基本的に自分への評価が低い。
 客観的かつ控えめに言っても、ジャンヌは超美少女か絶世の美女の類である。加えて女性として魅力のあるプロポーション。特に母性の塊たる胸は比較的大きい方である。実に素晴らしい!!・・・んん゛、全く持ってけしからん程だ。
 これだけの女性としての魅力を持ち得ながら、未だにジャンヌは自覚が無い。
 この状況、男をやめていない者達が見れば実に妬ましく、ある意味では同情してしまうモノだ。
 そんなカオスな主従を置いて事態は動く。
 ジャンヌが一瞬目を離した間にいつの間にか、衛宮士郎の横には無かった筈の弓矢が数十本も策に立て掛けられてあった。

 「あんなに弓矢在りましたっけ?」
 「無かった筈だが・・・・・・てか、アイツも弓兵かよ。衛宮士郎なんて聞いた事ねぇぞ?」

 確かに士郎は武術(・・)の世界では無名――――は言い過ぎかもしれないが、あまり名の通っている程では無い。だが武道(・・)の世界――――特に現弓道界では知らぬ者がいないほどの有名人であり、単に与一の視野が狭かったか興味心が薄かったか、弓道界に対する関心の薄さのせいで知り得ていなかっただけである。
 しかし今はそんな事は如何でも良かった。重要なのは、衛宮士郎が見ている先、弓矢を絞っている先には――――。

 「――――まさか、アイツが狙撃しようとしてるのは、まさかッッ・・・・・・
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