第10話 魅せられる英雄
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択肢をやろうってんだからよ!」
「何を・・・・・・!」
直も敵意を放ってくる2人に気怠げを見せる。
「あ゛〜面倒くせぇ。もう、1人位ならいいだろ。見せしめに蟻塚兼吉を解体しろ」
「は?」
それが白羽の矢を発たれた蟻塚兼吉が発した最後の言葉になった。
「・・・・・・・・・」
虚無僧笠の男が刀を抜き放ち、神速の刀捌きで横にいた蟻塚兼吉切り刻む。
そうして何時の間にかそこに蟻塚兼吉がいた筈だが、あるのは宙に浮いていた彼の目玉や脳、小腸大腸腎臓肝臓心臓などと言った重要な内臓器官のみとなっていた。
船長の要望通り解体したのだが、不思議な事に重要内蔵器官以外の骨や血飛沫が無かった。
恐らくは虚無僧笠の男の仕業なのだろうが、剣術だけで如何にかなるものだろうか。
だが今はそんな推察を置き去りにして現実は動き出す。
あまりの解体の速さ故、いっそ本当に宙で浮いていたように見えた幾つもの内臓器官は重力に従って落ちていくが、いつの間にか下に置いてあった防腐処理用のホルマリン液が詰まったクリアケースに見事すんなり入って行った。
だが船長の手は塞がっていた筈だし、虚無僧笠の男もそんなものは所持していなかった筈だ。
だがその疑問はさらなる疑問で解決した。
いつの間にか在ったのは――――いや、いたのは横にいた紫色の長髪にピエロの様な奇抜な格好をした怪人も同じだった。
その怪人が右手を軽く曲げると、クリアケースは全てひとりでに蓋が閉じて鍵まで締まった。
如何やらそのクリアケースは怪人が用意したらしい。
そこで漸くあまりの変化についていけなかった残りの幹部3人が悲鳴を上げた。
当然だろう。先程まで自分達と同じように生きていた同胞の1人が、気が付いたら残った臓器の数々だけとなり、クリアケースに収まっているんだから。
がだ船長はそんな3人の反応に顧みることなく用件を言う。
「見てもらった通り、解体した。今は良質な臓器が闇ルートで高く売れるんだと。奴隷と違って売買されるまでの餌代も掛からないしな」
便利な時代になったもんだと、愚痴るように呟く。そして直も続ける。
「そこで選択肢を与えるぜ。これ以上の屈辱はごめんだと言うなら、今此処で解体してやる。金にもなるしな。だがそれでも死にたくないって言うなら、俺の奴隷として今後生きていく道もある。――――まあ、それにも条件はあるんだが」
「じょ、条件・・・?」
受け入れがたい現実が続いて行く中、最早逆らう事が無駄だと理解していた時に選択肢を与えられ、唯一生き残れる道に条件があると言うのだから気になるだろう。
だがそれは一筋の希望では無く、さらなる
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