第10話 魅せられる英雄
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れを周囲は把握することはあっても、それを堂々と指摘するものは今まで皆無だった。シーマを除いて。
シーマの堂々とした指摘に京とリザが同時に吹いた。
堪え切れずにレオまで吹いた。
解ってないのは相変わらずクリスだけだ。
勿論指摘された本人は非常に機嫌を悪そうにドスの効いた声で尋ねる。
「俺が、なんだって・・・!」
語尾が疑問符ではなく、圧。よほどシーマの感想がお気に召さなかったことがよく分かる。
だが百代よりも強いシーマが気圧される筈も無い。
しかし機嫌を損ねてしまった事については反省しているようで、
「む。たとえ事実でも口にしても良い事とその逆があると聞いていたが、口にしてはならぬ事であったとは・・・・・・余もまだまだだな。――――と言う事で、すまぬタダカツ。不快にさせてしまって」
シーマは謝罪してくるが忠勝がそれを受け入れる気はない。何せ肝心の部分についての誤解への謝罪がまだなのだから、と言うのが本人談である。
「それより――――」
誤解を解こうとしたところで事態が急変する。
「へぶぅうううぅうう・・・・・・・・・うっ!?ぴひゃっああああああああああ―――――」
剣道場の格子窓が壊れると同時に一子が悲鳴を上げながら吹っ飛んできた。しかも二、三度庭でバウンドした――――が、すぐにロープらしき何かが彼女の胴に巻かれて回収されていった。しかも途中で気絶していたにもかかわらず無理やり起こされたのだ。あたかも『三途の川を泳ぎ切ったら休んでないで早く戻ってこい!』と言わんばかりに。
「「「「「・・・・・・・・・」」」」」
さすがに全員事態に飲み込めずに固まる。シーマを除いて。
シーマはまだ誰も復帰していない中で溜息を吐いてから行動に移す。
「流石にやりすぎだぞアルバめ。仕方がないから有言実行として止めてくる」
そう言い残してスカサハとの武力衝突を開始するシーマだが、タイミングが悪かった。
忠勝が誤解を解く直前に事が起きてしまったので、この事が有耶無耶になってしまった。
そのため、残念ながら忠勝に対するシーマの誤解?は解けないままになってしまった。
−Interlude−
夜。
九鬼財閥の会議室の一部屋でマープルが連絡を聞き終えた頃だった。
「如何だったマープル?」
「――――源聖大和国のアジトはもぬけの殻だとさ」
「矢張り予想通りか」
苦虫を噛み潰したような顔をするヒューム。
「そっちは如何だったんだい?」
「鷲見からの報告では、バックの時代錯誤の屑共の姿も何所にも見当たらないだとよ」
「そっちも予想通りかい」
嫌な方向性の期待通り過ぎて、マープルは溜息をつく。
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