第三章
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ふとだ、頭から砂がぱっぱっとかけられてだった。年老いた女の声が何処からか聞こえてきた。
「早く帰るのじゃ」
「砂!?まさか」
「そのまさかじゃ」
目の前に四角い顔に灰色の長い髪を持ち砂色の着物を着た老婆が出て来て頭は肩にかけられた砂を払う和に言ってきた。
「わしが砂かけ婆じゃ」
「本当にいたのか」
「いたも何もお主この学園の関係者であろう」
「ああ、大学もここで働いているところもな」
そうだと答えた和だった。
「そうだよ、だから妖怪がいるって話も聞いてるけれどな」
「わしもおってじゃ」
「それでか」
「お主を注意しに来たのじゃ」
「家に早く帰れってか」
「そうじゃ」
まさにその通りという返事だった。
「お主新婚さんじゃな」
「そのことも知ってるんだな」
「だったら余計にじゃ、家に帰ってじゃ」
「奥さんと楽しい時間を過ごせっていうんだな」
「そうせよ、新婚さんなら余計にじゃ」
「時々ならいいだろ。それに午前様でもないんだしな」
「しかし仕事が終わればじゃ」
新婚なら余計にというのだ。
「早く帰るのじゃ、帰らんとじゃ」
「砂かけるっていうんだな」
「お主の後をついていってな」
そのうえでというのだ。
「そうするぞ、それでもよいのか」
「俺だって砂かけられるの嫌だしな」
正直今も嫌な思いをした、払ったがまだ付いているか不安である。
「じゃあ帰るか」
「そうせよ、家にまっすぐにな」
砂かけ婆はこう言うと一旦姿を消した、ここで和は妖怪の言葉を無視して遊びに行くことも出来たが。
ついてくるという妖怪の言葉が気になって家にまっすぐに帰った、そうして二階建てて庭もある素敵なマイホームに帰るとだ。
砂かけ婆がここでも出て来て彼に言ってきた。
「うむ、ちゃんと家に帰ったのう」
「婆さん本当についてきてたんだな」
「まっすぐに家に帰るか見ておった」
自分が言った通りにというのだ。
「若し途中寄り道すればまた砂をかけてやるところだった」
「そのつもりでついてきてたんだな」
「そうじゃ、しかしお主はちゃんと帰ったからな」
「婆さんも帰るんだな」
「学園にな、何度も言うが」
砂かけ婆は和に咎める様に言った。
「夫婦、新婚さんなら余計にじゃ」
「まっすぐ家に帰ってか」
「奥さんと楽しい時間を過ごすのじゃ」
「そうあるべきなんだな」
「わしの息子夫婦の様にのう」
ここでにんまりと笑った妖怪だった。
「そうせよ、もう五人も子供がいて大変じゃぞ」
「婆さん子供いたのかよ」
「おるぞ、ちなみに旦那さんは子泣き爺じゃ」
この妖怪だというのだ。
「爺さんと楽しく過ごしておるわ」
「婆さんも結婚してるとかな」
「妖怪も結婚はするわ」
それでというのだ
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