第三章
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「そんなに深刻でもないじゃない」
「まあそうだけれどね」
「そうよ、じゃああったまった後は」
湯舟でだ。
「水風呂で一旦身体冷やして」
「サウナね」
「スチームにする?それとも普通のサウナ?」
「普通でよくない?」
少し考えてからだ、光は姉に答えた。
「別に」
「そう、それじゃあね」
「サウナに入って」
「そうしてね」
そこで汗をかいてだ。
「また水風呂に入ってね」
「湯舟に戻って」
「すっきりしましょう」
心も身体もというのだ、姉妹でこうしたことを話しつつ銭湯も楽しんだ、そうして二人はすっきりとして風呂を出たが。
風呂のマッサージ機に座る母を見てだ、姉妹で怪訝な顔になって母に言った。
「お母さんいつもよね」
「外でお風呂入ったそれよね」
「それに座って肩ほぐすわね」
「そうしてるわね」
「銭湯でもスーパー銭湯でもあれば」
「最後はこれをしないと駄目なのよ」
二人の母はまだまだ若く奇麗な外見だ、だがそれでも今はそのマッサージ機に座って肩をほぐしてもらいながらリラックスした顔でいる。その顔で娘達に応えたのだ。
「お母さんはね」
「何かおばさん臭いわね」
「そうよね」
姉妹で言う、その母を見て。
「何かね」
「そこで肩ほぐしてもらうと」
「完全におばさんじゃない」
「最後はこれがないと駄目って」
「これがいいのよ」
リラックスした顔のまま言う母だった。
「あんた達もそのうちわかるかもね」
「いや、わからないから」
「私達肩凝らないし」
まだ若くて肩を動かす運動をよくしている二人の池は一緒だった、姉はテニスをしていて光は水泳である。
「それじゃあね」
「そんなの必要ないし」
「というかお風呂で肩ほぐれない?」
「そこで肩凝りなおるでしょ」
「だから中々なおらないのよ」
普通に風呂に入ってもというのだ。
「お母さんの肩凝りは結構きつくてね」
「加齢でそうなるの?」
「ひょっとして」
「そうよ、まああんた達もお母さんの年齢になったらわかるわ、お父さんもそうだし」
二人の父であり自分の夫のことも話した。
「お風呂、こうしたところのお風呂の最後はこれだってね」
「これじゃあ電気風呂の方がまだお洒落なんじゃ」
光はそんな母を見てこうも思った。
「まだね」
「同感、私も大人になってもね」
「何かおばさん臭いからね」
「マッサージ機のお世話にはね」
「なりたくないわね」
このことは二人共同じだった、光は電気風呂以上にマッサージ機には抵抗を覚えた。まだ中学生の彼女はそう思ったのだった。将来の自分の姿には思いも寄らず。
電気風呂 完
2017・11・26
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