EX回:第32話(改2)<艦娘の舞台>
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ら冗談とも本気とも取れない台詞を吐く。
「うーん、何ともいえません」
私は苦笑しか出来なかった。
「ふん」
技術参謀は、ため息混じりの吐息と共に暑苦しい白衣を脱いだ。
そのまま彼女は座席に座ると交代した夕立を見ながら話し始めた。
「夕立は地上戦でも、なかなか優秀らしいな。境港市での戦闘の話、聞いたぞ」
「ぽい?」
「センスみたいなものだろう……今後もお前とは、いろいろやり取りしたいものだ」
意外にも技術参謀に褒められた夕立は、ちょっと恥ずかしそうな顔をした。
顎に手をやって思案する参謀は言った。
「敵はブルネイの鎮守府を常に監視しているようだな。我々のように護衛も付けずに単独で飛ぶ機体なら、敵が見て要人が乗っていると考えても、おかしくはない」
私は応える。
「では……護衛を付けるべきだった?」
技術参謀は私を見ると肩をすくめた。
「それも良し悪しだ。逆に目立つからな。単なる連絡便や索敵任務程度に思わせたほうが無難だ」
そして彼女は笑った。
「だいたい我々は別の時代から来ているんだぞ。護衛も一緒に帰るのか?」
「はあ、そうでした」
私も笑った。
そのとき寛代が、何かを呟く。祥高さんが近寄って話をしている。
技術参謀も立ち上がると二人に近づいた。
「何か見えるか?」
「……空母、前方。複数」
寛代の返事に参謀は苦い顔をした。
「チッ……よりによって空母か。この位置では迂回も無理だ」
祥高さんも言う。
「逃げ切れない可能性もあります」
そのとき、機長が叫んだ。
「低気圧が接近、天候が急変しつつあります」
「なに?」
「気圧が下がっています」
比叡が言う。そうか戦艦の彼女は自前の気圧計を持っているのだろう。
赤城さんは操縦席から見える前方の空を指さした。
「前方に白い大きな雲の塊が見えます」
「南の海の積乱雲か……まずい感じだな」
私が言うと参謀も受ける。
「敵の機動部隊に悪天候か……悪いことは重なるものだな」
「それは、いつものことネ!」
突然、金剛がアッケラカンと言い放つ。なぜかその言葉に機内の全員が笑った。
日向も言う。
「そうだな、艦娘は常に戦いの舞台に立つものだ」
「フフ……確かに。それが兵士というものだ」
参謀もニタリと笑った。
彼女たちの言葉には妙に重みがあった。
そう、艦娘たちは常に戦いの場に実を置かざるを得ない宿命なのだ。
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