エイリアンVS陰陽師 宇宙人がなんぼのもんじゃい! 4
[1/17]
[8]前話 [1]次 最後
「それじゃあいっちょうCheck it outしようか、ダンディー天馬。Just Do It!」
「オゥケィ、セクシー冬児。我が命に代えても!」
呪術喫茶『BARメイガス・レスト』で燃料を補給したセクシー冬児とダンディー天馬は井伊場葬儀社の入ったビルを見上げ、印を組み呪を唱えた。
「オン・ビロバクシャ・ノウギャ・ヂハタエイ・ソワカ」
浄天眼。すなわちこの世のすべてを見通す千里眼を持つという広目天の真言。
肉体にそなわった視覚とは異なる目、見鬼の力を増大させる効果を発揮し、ビル全体を視る。
呪術による結界や罠の類は見つからなかった。
この呪術。座学で学んだものではあるが、今の冬児と天馬にはそれなりに高度なこの術を使うことは本来ならばできない。
複雑な術式を組む技術力も使用する呪力も足りないからだ。
しかし謎のマズターの作った謎のカクテルによる謎のアルコール効果によって謎の覚醒状態になったふたりには、それを行使できる謎の領域にまで高められていたのだ。
古代中国では、酒に酔うことで精神が自由に開放され、より高度な理性と鋭敏な感性を獲得できると信じられていた。李白、杜甫、白楽天――。いにしえの中国の詩人達の多くもこれを強く信じていて、酒を手放すことは無かったという。
中国だけではない、エドガー・アラン・ポーやアーネスト・ミラー・ヘミングウェイ、稲垣足穂などなど……。
創作家と呼ばれる者たちは酒の恩恵を受けてきた。
呪術者もまた無から有を生じさせる、一種の創作家といえなくもない。
セクシー冬児とダンディー天馬。ふたりの呪術者は今、酒神の加護を受けていた。
「……生命反応は二体のみ、さっき入った黒服のみのようだ」
「ふたりだけなら万が一見つかっても対処できそうだね、ステルスしちゃう?」
「ステルスしちゃう?」
「「Yes I do! Just Do It! 我が命に代えても!」」
隠形し、侵入を試みる。
扉が開かない。施錠されていた。
「どうする、Destroy or Destroy?」
拳を上げて気を練り上げる。
セクシー冬児の腕全体を炎が燃えるように気がゆらめいていた。今なら鉄製の防火扉でもぶち抜けられそうだ。
「ノォウ、COOLにいこうぜ、マイ・フレンド」
ダンディー天馬が呪を唱えて刀印を切ると、扉のロックが解除された。
「テクニシャ〜ン」
「COOL! COOL! COOL!」
正面扉から堂々と井伊場葬儀社内へ侵入をはたす。
ひと部屋ひと部屋調べてまわるが、いずれも空き部屋同然で椅子や机といった調度品すら置かれていない。
「拍子抜けだぜ、培養液に浸かったエイリアンの幼体だの檻に閉じ込められた奇怪な実験動物とか想像してた
[8]前話 [1]次 最後
※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりを挿む
[7]小説案内ページ
[0]目次に戻る
TOPに戻る
暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ
2024 肥前のポチ