ソードアート・オンライン〜剣の世界〜
1章 すべての始まり
4話 救出劇と再会
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尽くすほどのカーソル。軽く30はいるだろう。
その時、右の奥のほうから、カシャアアァァァン、という儚げな破壊音が響いた。それは、モンスターがポリゴンに変わる音ではない…プレイヤーの死亡エフェクト。すなわち、この世界では…
「間に合わなかった…!」
ツカサが悔しそうにつぶやいた。
「まだソードスキルの音が聞こえる。誰かまだ戦ってる!今ならまだ間に合うよ!」
リアはそう叫んだ。一刻を争う事態である。おそらくパーティーを組んでいた人間の誰かが死んだが、まだ残っているプレイヤーがいるのだろう。
リアは疾駆してきたそのままのスピードを保ちながら、一番後ろにいるネペントを踏み台にして、高く飛び上がった。そしてネペントたちが集結しようとしている中心に身を躍らせる。そこには、茶色い革のコートを着た、黒髪のプレイヤーがボロボロの装備で押し寄せてくるネペントと戦っていた。リアやツカサよりもいくつか年下、というような感じだ。
彼の後ろへときれいに着地し、間髪開けずに一番手近なネペントにホリゾンタルをお見舞いする。一瞬ひるんだネペントをさらに切りつけ、その身を爆散させた。
ようやくその音で気づいたのか、黒髪のプレイヤーがこちらを振り返った。その顔には驚愕の色が張り付いている。
「あなたは…!?」
「そんなことよりもさっさと片付けよう!後ろは任せて!」
黒髪のプレイヤーは、この状況のためリアの言葉に従うことにしたようで、狭い来るネペントを再び最小限の動きで狩っていく。
考えることは何もなかった。ただただ無心で、ネペントの弱点にソードスキルや通常攻撃をたたき込む作業を淡々と繰り返すだけであった。
やがて残りの数も少なくなり、外側から攻撃していたツカサの姿も見えてくる。そしてついに、黒髪のプレイヤーが腐蝕液噴射のモーションに入り、停止していたネペントを片付けて、ネペントとの攻防は終わりを迎えた。
「終わったー…」
別段疲労した様子もなく、リアが背伸びをしながらそう言った。
「いきなり飛んだりするからびっくりしたよ」
「あはは、ごめんごめん」
そういいながらも、リアとツカサはハイタッチを交わした。そして、二人の視線は呆然と立っている黒髪のプレイヤーとむけられた。
リアとツカサの防具や武器の消耗もかなりのものだが、彼のはもっとひどい。どうやら本当にぎりぎりだったようである。
「お疲れ様」
「…え、ああ…」
彼はやっとリアの呼びかけでこの世界に戻ってきた、というような感じであった。やがて焦点がリアとツカサに向く。
「助けていただいて本当に、ありがとうございました」
「ううん、いいのいいの。君だけでも、無事でよかった」
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