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勇者にならない冒険者の物語 - ドラゴンクエスト10より -
始まりのジュレット3
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あげれないけど、飲食とショーは無料だから安心して。あと、ラストまでいてくれていいからね! あんたひとり分くらい面倒見れるんだから。お姉さんに任せなさい!」

(いやいやいや、それ絶対ボッタクられるパターンじゃん!)

「いや、パーティの仲間が帰ってくるかもしれないし、戻らないと・・・」

「何!? やっぱあんた冒険者なの!? やばいうけるー」

 何が受けるのか解らないが、ついて行ってはマズイと立ち止まって抵抗を試みるバルジェン。

「いやいや、報酬とか要らないから、大丈夫だから。まあ、ほら、あそこの宿に泊まってるからさ」

「いいからとりあえずこっち来なさいって」

「お前それさっきのチンピラどもと一緒だからな!? やってる事は!?」

「何よ美味しい料理食べたくないの?」

 美味しい料理と言われても、バルジェンにはちょっとしたスナックやケーキが通常の10倍の価格で置いてある気しかしない。
 そんな店に行った記憶など勿論ないが、そう思うという事は記憶喪失になる前には通ったことがあるのだろう。
 ほらほら早く早くと楽しげに引っ張ってくるジーナにタジタジになりながらホテルの酒場にさしかかろうという時、シャツの背中の裾を思いっきり後ろから引っ張られてバルジェンの首がえりに締め上げられる。

「ぐええ!?」

 カエルのように声を上げて振り向くと、物凄い形相のエルフの少女が睨みつけて来た。

「心配になってルーラ石で飛んで帰って来てみれば、これは一体どういう事だ?」

 冷ややかな声色。そして視線。
 ものすごく怒ってるみたいだ。

「いやぁ・・・、突発クエストの、報酬? みたいな?」

 ガッと左脇腹を力一杯つねられる。ギリギリギリっと鈍いような激しいような微妙な痛みに襲われた。

「いいい、いたいいたいいたい、チョウキさんちょっと、話聞いて」

「な、ん、の、は、な、し、を、だ!?」

「いやいやいや、そもそも、イタタ、俺らって、これ、ああ痛い、付き合ってるんだっけ!? いやいや待ってマジで痛い肉が千切れる」

「私はお前のことを今でも恋人だと認識しているが!?」

 ギリギリと締め上げられる中、ジーナが唐突にチョウキの事を横から両手で突き飛ばした。
 小柄なエルフ娘はたまらずよろけてバルジェンから数本離れる。

「とと・・・、何をする一体どういうつもりだ!?」

「は!? どういうつもりはこっちのセリフなんですけど!?」

「そうか、貴様私が見ていぬ間に色仕掛けでも使ったか」

「まだ使ってねーし!」

「使うつもりだという事だな!? 何という泥棒猫! もとえ泥棒魚だ!!」

「は!? あんたこそ何よコイツの何なわけ!?」

「恋人だ!!」

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