第06話 三国同盟 ターン05,06
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――――ドクツ第三帝国――――
広大なヨーロッパ星海域――――
その一角、ベルリン星域に、ドクツ第三帝国の主星、惑星ベルリンがあった。
旧ドクツ帝国――
かつてエイリス、オフランスとともにヨーロッパに名を轟かせた大帝国であった。
が、22年前に起こった第一次宇宙大戦での敗北が運命の歯車を軋ませた。
戦いによって国土は荒れ果て、戦勝国に支払った多大な賠償金で経済は破綻。
まさにどん底。人々は出口の見えぬ闇の中、救世主を求め…
そして彼女が現れた――
「ジーク・ハイル(勝利万歳)!
ハイル・アドルフ(アドルフ万歳)!」
「ジーク・ハイル! ハイル・アドルフ!」
雨のように鳴り響く賛美と称賛の中を、二人の女性が進んでくる。
軽やかな金髪を揺らす小柄な女性――いや、まだ少女と呼んでいい。
ヨーロッパで……いや、おそらく全宇宙で彼女の名を知らぬ者はいないだろう。
彼女こそ、ドクツ第三帝国、現総統、レーティア・アドルフ。
2年前、彼女は彗星のようにドクツに現れた。
当時、イタリンで興った“ファンシズム”。
国家の代表を見た目だけで……アイドル感覚で選ぶ風潮だ。
夢も希望もない自分たちに、せめてアイドルくらい欲しい……。
僕も前世はアイドル育成ゲームに課金してたような記憶があるのでその気持ちは分かる。
国民は軽い気持ちでアドルフに投票した。
かくして彼女は当選。しかし民衆の気まぐれで選ばれた少女は、
ただの可愛いだけのアイドルではなかった。
彼女は恐るべき頭脳を持っていた。天は二物を与えたのだ。
改革に次ぐ改革を行い、時代を飛び越えた技術を次々に生み出した。
ドクツの経済状況は見る間に向上し、巨大な公共事業の運営によって失業者は姿を消した。
官僚、貴族、国民。ドクツ人民の全てが彼女の力に驚き……
そして、長らく忘れていた胸の高鳴りを……希望を取り戻した。
宇宙で最も権威のあるローベル賞――その物理学、化学、平和賞の三部門を受賞。
全宇宙の誰もが、彼女を“天才”と称賛し、
ドクツ政府の支持率は宇宙史以来、初めての100%を達成した。
ポッポーランド共和国に続いて北欧にドクツ第三帝国が侵攻。
北欧・エイリス連合軍は開戦から1日で壊滅――――
北欧星域は圧倒的少数のロンメル艦隊により完全に制圧された。
ドクツ第三帝国は翌月にも軍を反転させオフランス王国に侵攻。
新兵器Uボートによってマジノ要塞が突破された二週間足らずで惑星パリが陥落し
オフランス政府は戦うことなく降伏を決めた。
――――ガメリカ共和国――――
三年前まで売れっ子の映画俳優だった
野心家イーグル・ダグラスが新しい太平洋艦隊司令官として
ハワイに赴任した
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