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ラブライブ!サンシャイン!! Diva of Aqua
遭遇
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少しあどけなさが残っていて、千歌と同年代であることが窺える。この時千歌は、少女が自分より一つか二つ年上だろうと予想していた。


 千歌とこの少女が会うのはこれが初めて。だけど千歌は、目の前の少女にどこかで会ったことのあるような既視感を覚えていた。グルグルと記憶を辿ってみるが上手く思い出せない。



「あのー」

「は、はい!」


 少女から声が掛かって千歌は驚いて返事をした。思い出す作業を一旦中止して、千歌は少女の言葉の続きを待った。


「高校生ですか?」

「あ、うん、高校二年生。あそこの丘にある、浦の星女学院って高校」

「あそこの二年生なんだ。じゃあ同い年だね」

「そうなんだ!? あ、私は高海千歌」


 同い年という事実に大きく驚きなながも、千歌は自らの名を少女に名乗る。


「私は――」


 少女が千歌に名乗ろうとしたその時。その場にどこからともなく音楽が鳴った。


「あ、ごめん。先に電話出るね」


 少女がポケットからスマートフォンを取り出し、申し訳なさそうに千歌に言う。今もなお鳴り続けている音楽は、少女のスマホが奏でる着信音だった。コクリと千歌が小さく頷いたのを見て、少女は電話に出た。


「もしもし? うん、うん。わかった、じゃあ……」


 短いやり取りを終えて電話を切った少女は、表情を曇らせて千歌に向き直った。


「ごめん、早く帰って来いって怒られちゃった。もう帰らないと……」

「もう夜遅いもんね。家の人も心配してると思うから、早く帰った方がいいよ!」

「うん、そうするよ。それじゃあ……」


 少女は踵を返してその場から立ち去ろうと歩き出す。砂浜を踏む音が数回ほど聞こえたとき、少女が立ち止まってクルリと振り向いた。


「……夜絵(やえ)

「へ?」

「――椎名(しいな)夜絵(やえ)。私の名前」


 少女――椎名夜絵が、自らの名を千歌に告げる。

 それを千歌に伝えると、夜絵は再度踵を返して歩き始めた。


「――夜絵ちゃん!」


 千歌が夜絵の名を呼ぶ。その場で立ち止まった夜絵は、今回は振り返らなかった。



「私ね、夜絵ちゃんの歌を聴いて感動した! だから……だから、また夜絵ちゃんの歌、聴きたいって思ったの! だから――!」


「うん、いいよ。今の言葉、嬉しかったから」


「本当っ!?」


「うん、約束ね」


「うん! ありがとう、夜絵ちゃん!」


「それじゃあ、私は帰るわ。また――」


「うん、また今度会おうね!」



 最後にそんな約束を交わして、夜絵は今度こそ砂浜から離れて行った。


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