第八話 祭典
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講堂はほぼ満員だ。
幕が完全に下りきっても、席を立つ人はほとんどいない。講堂にいる人たちは次の演目、Lyraのステージを心待ちにしていた。
七夕祭りでのライブで、ここ音ノ木坂学院の周辺でLyraはそこそこ有名になっており、学校外からの来客も講堂に多く居座っている。
その中には、七夕えみの姿もあった。
音ノ木坂の制服ではなく私服を着こなし、サングラスとマスクで変装をしている格好は明らかに浮いている。
やがてステージからは開始を告げるブザーが鳴り、多くの観客の期待を乗せて幕がゆっくりと上がっていく。
息を呑むようにして観客が見守る中、ステージにはLyraのメンバー、織部輝穂、琴宮飛鳥、鷲見瑞姫の3人が立っている。
幕が上がりきったところで、輝穂が一歩前に出た。
「みなさんこんにちは! 私たちはここ音ノ木坂学院でアイドルをしている、Lyraです!」
輝穂の声を聞いて、観客たちからは声援が沸き起こる。
満員の観客で埋め尽くされた講堂を、Lyraの3人はステージ上からぐるりと見渡した。
「1曲目は、私たちの始まりの曲です。それでは――」
「「「ミュージック、スタート!!」」」
穏やかなピアノ音のイントロが流れ出し、講堂は一瞬の静寂に包まれる。
その中でLyraの3人はゆっくりとステージ上で動き始めた。
静かなイントロからポップな曲調へと変わっていく。それに合わせてLyraの動きも速く大きくなって、会場のボルテージが一気に高まった。
この曲をこの講堂で披露したのはLyraがまだ結成して1ヶ月ほどの頃。
その時は数名しかいなかった観客が、今では講堂を埋め尽くすほどに入っている。
見てくれる人がたくさんいる。
そんな幸せに満たされながら、Lyraは歌い、踊った。
そしてLyraは1曲目を歌い終える。
満員の観客からは割れんばかりの拍手と歓声が、彼女たちに送られる。
「えー次の曲は、七夕祭りで歌った曲です。それでは皆さんもご一緒に――」
「「「ミュージック、スタート!!」」」
観客と一緒にした合図とともに、音楽が流れ始める。
最初からアップテンポな曲調が会場のボルテージをさらに高める。その熱気に乗せられるようにしてLyraのダンスは激しさを増していった。
Lyraは歌う。見に来てくれた人が楽しんでくれるよう、精一杯。
最初のサビが終わって間奏に入ると、講堂全体から曲のリズムに合わせて手拍子が響きだす。
楽しんでもらえている。
各々そう感じたLyraのメンバーは胸に感動が広がっていくのを覚
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