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東京レイヴンズ 異符録 俺の京子がメインヒロイン!
邯鄲之夢 5
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数には数を。京子も負けじと式符を放ち、こちらも獣を象った簡易式を召喚。それも一体や二体ではない。三〇を超える式神が妖獣の群れを迎え撃つ。
 さらにそのあいだにも。

「海嘯の如く迫り万丈の蔓となり禽えよ。急ぎ急ぎて、律令の如くせよ!」
「土精を宿し金剛の如く硬く断て、急々如律令(オーダー)!」

 水行符が生み出した水流を木行符が生んだ木梢がすかさず吸収。五行を相生させて威力の増した長くしなやかな木鞭が打擲せんとうなりをあげるも、対する京子の放った土行符が金行符と相生して生み出された鋼刃によりこれを両断。
 余勢を駆って高廉を斬ろうとした鋼刃だが、高廉は火行符でこれを相剋。それによって生じた火炎を土行符で相生しようとしたところを京子が水行符を割り込ませ相剋。
 まるで生きた教科書のような模範的な五行相生相剋を駆使した呪術戦が続く。
 展開した式神群をすべて同時に統制しつつ、術者本人も戦いにくわわる。
 プロの呪捜官や祓魔官とてこれほどあざやかな手並みを発揮できる者はまれだろう。たとえ十二神将でもここまでの手練れは限られている。
 現在もっとも集団式神使役の技量にすぐれた陰陽師は滋岳俊輔(しげおか しゅんすけ)という十二神将のひとりで、彼は複数の式神を一つの部隊のように的確に指揮し、迅速に修祓を行う様から大佐≠ニいうふたつ名をもっている。
 その大佐とくらべても遜色のない戦いぶりといえた。

「ええい、これではらちがあかぬ!」
「そう、じゃあそろそろおしまいにしましょう」
「なんだと!?」

 一進一退、互角の勝負をしていた式神たちの動きに変化が生じた。とつぜん京子がわの式神が優勢になったのだ。
 高廉の妖虎を京子の白鷺がついばみ、妖蛇は黒猪に喰われ、妖猿は赤馬のひづめに蹴りつぶされ、妖狼は青兎に首をはねられた。

「これはいったい……、ハッ! もしや!?」

 高廉は京子の式神に秘められた術式に気づいた。京子は式符に五行の符術を合わせて相生したのだ。虎も蛇も猿も十二支にある獣であり虎(寅)は木行、蛇(巳)は火行、申(猿)は金行にそれぞれあてはまる。そして鷺(酉)は金行、猪(亥)は水行、馬(午)は火行。
 簡易式に練り込む呪力に五気をふくませる。十二支の五行に見立て、相生させることで式神の基本性能を高めるとともに相剋関係にある相手にぶつけ、戦いを有利にみちびいたのだ。
 気づいたときにはもう遅い。あっという間に使役獣を全滅させられた高廉は京子の式神群にかこまれてしまった。
 これはかなわない。
 そう判断した高廉は即座に遁走することにした。

「――乗虚御空、飛霊八方、廻転舞天。急ぎ急ぎて、律令の如くせよ!」

 首から下げていた盾をはずすと宙に放り投げ、呪文を唱えてそれに飛び乗る。
空を飛ぶ乗
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