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東京レイヴンズ 異符録 俺の京子がメインヒロイン!
邯鄲之夢 5
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団で飛んでこられてはたまらない。
顔や手足をかじられ、むしられるだけにとどまらず、羽ばたきによって生じられた風圧に吹き飛ばされて海上に落ちそうになった兵士たちは船内へとわれ先に逃げ出した。
「あたしもいつかは魔女になるかもだけど、まだそんな齢じゃないわ。どうせなら魔法少女って呼んでくれないかしら。あ、陰陽少女でもいいわよ」
「くだらん軽口が叩けるのもいまのうちだ」
ただひとり残った高廉は蝙蝠の嵐の中でも悠然としている。身にまとう守護の霊符が効果を発揮し、鳥獣の害をふせいでいるのだ。
「長嘯で船員を惑わし鳥獣を呼び積み荷を奪っていたのはおまえの仕業だな。――黒精玄武、
壬
(
みずのえ
)
、
癸
(
みずのと
)
の気を以って調伏せん。急ぎ急ぎて、律令の如くせよ!」
先手をとったのは高廉。
かけ声と同時に呪符を打った。尾が蛇になった足の長い亀、玄武の姿が描かれている。水行符だ。それもかなりの威力。呪術の水流が瀑布となって京子にせまる。
「土剋水、
急々如律令
(
オーダー
)
」
数多の対人呪術戦を経験してきた京子は動じずに高廉の水行術を相剋。しかしそのときすでに高廉は次の呪符を打っていた。金行符、火行符、木行符。しかし相生させるというわけではなく、それぞれ個別に微妙にタイミングをずらしながら放っていく。
呪符の乱れ打ちというのは霊力が豊富な証拠で、たんに技量に優れているだけではできない芸当だ。京子と秋芳以外の塾生で、このようなことができるとしたら土御門家の次代当主といわれる夏目か、その式神の春虎くらいなものだろう。
だが京子はそれらすべてを的確に相剋して高廉の呪術をことごとく処理していった。
船上を桜吹雪のごとく呪符が舞い散る。
「天兵および地兵を発起す、陰兵および陽兵を発起す、木兵および火兵を発起す、土兵および金兵を発起す、水兵を発起す。天の五行、地の五行を結びて霊脈を断つ。急ぎ急ぎて、律令の如くせよ!」
高廉はひときわ複雑な手印を結んで呪符を甲板上に貼りつける。するとどうだろう、乱打した符術に隠されていた術式が発動し、船と船のあいだ、海上に光の五芒星が浮かび上がった。
結界だ。
「ヒヒーン!」
独角?の身体にラグが走り、蝙蝠が散り散りになって逃げだす。
通常の結界とはちがう。
京子は眉をひそめて独角?の実体化を解いた。騎乗から徒歩の人になる。
「まわりの霊脈を断つ……、護法封じってわけね」
相手の護法式および使役式を封じる。
式符によって瞬間的に召喚する式神とは異なり、つねに召喚状態にある護法式や使役式。呪術によって操作され、一時的に式神状態にある蝙蝠の大群。これらのあいだには術者との密接な霊的つながり、霊脈がつながっている。高廉はそれを遮断したのだ。
「
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