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東京レイヴンズ 異符録 俺の京子がメインヒロイン!
邯鄲之夢 5
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二隻、三隻……。
もはや夜とは思えぬ、真昼の明るさにおどろいた乗船者たちが甲板に姿を見せ、喧騒につつまれた。
「聞けい、元の兵士たち。わが名は高唐州にその名も高き高廉。わが方術をもってすれば太陽を生み出し、闇を切り裂くこともたやすい。敵の妖術使いなぞ恐れるにたりない」
高廉
(
こうれん
)
。これまた『水滸伝』に登場する人物で、雷雨を起こし妖獣を召喚する術に長けた妖術使いなのだが、包道乙や鄭彪と同様この時代の人ではない。
どうもこの世界、時代考証がむちゃくちゃだ。
その高廉の思いがけない
表演
(
パフォーマンス
)
にやんや、やんやと拍手喝采。
兵士らは手をたたきながら、大声でほめたたえる。
「おおう、これほど達者な道士さまが味方とは心強い。こんどのいくさは勝てそうだ」
「これは大いに期待できますなぁ」
つい先ほどまで不安にさいなまれていた兵士たちのあいだに安堵が広がる。
するとどこからともかく美しい女性の歌声が聞こえてきた。
比?深的感情 海中産生
全部?束?也 我不?
在小星上 照射道
遥?的旅途 不迷道
比??的感情 ??我
空的?海的青 成?一个
?返回故? 回来了 回来了 回来了……
聞いていると胸が熱く、せつなくなってくる。
帰りたい。
一刻も早く故郷に帰り、家族の顔や生まれ育った山河の姿を目にしたい。
「うぬ!? これは長嘯術か。いかん、おのおのがた、耳をふさげ」
言葉のひとことひとことに呪力の込められた呪歌は聞く者の胸に望郷の念を起こさせ、
故郷に帰りたいという衝動によってその場を立ち去らせようとした。
崖山の近くまで来るとどこからともなく美しい歌声が聞こえてきて、それに聞き惚れているうちに気づけば帰路についている――。
うわさはほんとうだった。
兵士たちはあらかじめ指示されて持たされていた綿を耳に詰め呪歌に備える。
それでも呪歌の影響を受けた者たちがいて、船の針路が大いに乱れた。このままでは目的地である崖山にたどりつけないどころか浅瀬や岩礁に乗り上げて座礁しかねない。
「こしゃくなやつめ、どこにおる!? 霊光透視、骨照魂現。急ぎ急ぎて、律令の如くせよ!」
高廉は霊符に法力を込めて目にあてた。すると両の眼から一道の金光が生じて、あたりを透かし見た。
隠形している存在の正体を見抜く霊光天眼通の術だ。
「そこか!」
手にした呪符を打つと光り輝く無数の火箭と化して舳先へと飛んだ。
「バン・ウン・タラク・キリク・アク!」
だが標的にあたる寸前、結界にはばまれ雲散霧消する。
「あらら、ばれちゃった。やっぱあたし隠形って得意じゃないかも。でもプロを目指している以上、そんなことも言ってられな
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