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東京レイヴンズ 異符録 俺の京子がメインヒロイン!
邯鄲之夢 5
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「ひぇえええっ、まいった、降参する、わしの負けじゃ。もう二度とおまえたちには手出しはしない!」

 さんざんにどつかれ、シバキたおされた高廉は白旗をあげたのだった。




 
「居収五帝神将、 電灼光華、納則一身、保命上則、縛鬼伏邪、一切死活滅道――」
「詠唱長すぎ! 九天応元雷声普化天尊、急々如律令(オーダー)!」
「龍虎奔行 必神火帝、万魔拱服、天魔降伏、急ぎ急ぎて律りょ――」
「遅い! 急々如律令(オーダー)!」
「ノウマク・サンマンダ・バサラダン・センダンマカロシャダヤ――」
「???(カーン)!」

 高廉が遁走したあとにも乗船していた道士や僧侶といった呪術者が応戦し、京子に立ち向かったのだが、鎧袖一触。またたく間に打ち倒された。
 武術と同様に八〇〇年前の呪術は現代のそれにくらべて洗練されておらず、無駄が多い。土御門夜光が改良編纂した帝式陰陽術を幼い頃から学び、秋芳から伝授されたいにしえの秘呪を習い覚えている京子の敵ではなかった。
 呪術者達は当然のこと、並の兵士らも太刀打ちできない。剣も矢も見えない盾に弾かれ、そらされ、その身になにひとつ危害をくわえることもできず、武装を解除され無力化された。

「司馬法に曰く『国、大なりといえども、戦いを好むは必ず滅ぶ』。帰ってあなた達に命令を下している人に伝えなさい、これ以上しつこく軍隊を動員して他国を侵略したり、貴重な珊瑚を強奪するつもりなら、頭をどやかして胴体にめり込ませておヘソの穴から世間をのぞかせてやるわよ!」

 司馬法というのは春秋時代に斉の司馬穰苴(しばじょうしょ)という人物が記したとされる兵法書で、斉は兵法の開祖で方術にも通じていた太公望こと呂尚が作った国だ。春秋戦国時代では兵法や学問が盛んで、孫子の名で有名な孫武や孫?(そんぴん)も斉の人である。
 そんな秋芳仕込みの恫喝。珊瑚うんぬんはよくわからなかったが、実力の差を見せつけられた元の軍兵たちはすごすごと退散せざるをえなかった。
 元兵らをひとつの船にまとめて乗せて泉州に送り返したあと、物資の満載した船団を根こそぎちょうだいすることにした。
 とはいえ船を動かせる船夫はいない。呪術で風を呼ぶか潮流をあやつるか――。いずれにせよ高廉のほどこした霊脈封じの結界が邪魔になる。

「――地より生まれし呪い、地に戻りて、絶えゆけ、枯れゆけ、消えゆけ――」

 解呪にとりかかる。

「これはおどろいた。闇夜に灯、地獄に菩薩、はきだめに鶴、棚から酥餅、泥沼に蓮華……。かくも強く
美しき花冠が宋に味方しているとは意外、意外」

 高廉の張った結界を解除した直後、どこからか妙に甘ったるく芝居がかった男の声がした。
 気配は感じられない。ただ声のみ聞こえた。
 たとえ呪術で遠くから音
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