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東京レイヴンズ 今昔夜話
エイリアンVS陰陽師 宇宙人がなんぼのもんじゃい! 1
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「だよな!」

 まるで自分の所有物を褒められたかのように春虎は得意げな表情を浮かべた。そんな気にさせる星空だった。

「夏の夜空で一番目立つのは、なんといっても織姫ですね」

 東の空を照らすひときわ明るい星。こと座のベガ。織女とも呼ばれる夏の夜空を彩る有名な七夕伝説のヒロイン。

「あっ、ほらほら見てください! 天の川をはさんで彦星も見えますよ」

 彦星。または牽牛とも呼ばれるわし座のアルタイルは織姫の恋人で、天の川にへだてられたふたりは年に一度だけの逢瀬をもつといわれる。

「知ってる知ってる、ベガとアルタイルにはくちょう座のデネブで夏の大三角ていうんだよな」
「春虎、おまえそれアニソンで得た知識だろう」
「――やっとみつけたおりひめさ〜ま、だけどどこだろうひこぼしさ〜ま――」

 都心から電車で通える場所にもかかわらず、小さな農園や牧場が点在する、風光明媚な地方都市。
 そんな緑のオアシスにある丘陵地帯の一画、小高い丘にシートを敷き、星空を観る春虎、夏目、冬児、天馬、京子、鈴鹿。といっても星図や星座盤を用意して、しっかりと観測しているのは天馬だけで、あとはみな思い思いに星空を見上げ、楽しんでいた。冬児など麦系の炭酸飲料を賞味してすっかりくつろいでいる。
 しかしただひとり、京子だけがかすかに憂いをおびた表情を浮かべ、少し距離をおいていた。
 今夜にかぎったことではない。
 京子は今年に入ってから妙にふさぎがちになることが多くなり、いまもまた牽牛織女の逢瀬の話を聞いてせつなさがこみ上げてきた。
 胸の奥がかすかにうずく。
 自分には大切な人がいたのに、その人のことをわすれてしまっている。絶対にわすれてはいけない、忘れようのない想い人なのに――。
 だが、そんなことはありえない。
 自分にはまだ恋人と呼べるような人はいない。以前は土御門夏目のことを幼い頃に約束を交わした少年だと思い込み、恋慕の情をおぼえたこともあったが、それはささいな思いちがいから生じた気の迷いだった。
 いまはそう確信している。だいいち夏目は女だ。
 大切な友人だが、男女の情愛は感じない。それは幼い頃に約束を交わした本物≠フ相手である春虎に対してもそう。天馬や冬児も良き友人だが恋愛感情は感じない。
 では、だれに。
 いったい自分はだれに対してこうも愛しく、せつない想いをつのらせているのか――。
 胸がしめつけられる。
 無意識のうちに両手で自分の身体をかき抱いていた。まるで寒さに震えるおさなごのように。

「ダァーッ! なにこれ見よがしにデカ乳強調してるんだよ、ウシ乳女っ」

 ドリルツインテールを文字通り尻尾のようにゆらして鈴鹿が叫んだ。

「怪奇ホルスタイン女のくせにたそがれてんじゃねーよっ、ほらっ、
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