エイリアンVS陰陽師 宇宙人がなんぼのもんじゃい! 1
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日が落ちても蒸し風呂にでも入れられたかのような夏の暑さは続いていた。
寮内にはエアコンのそなえがあり、熱中症対策のため夏場は常時稼働しているのだが、節電、省エネというスローガンのもとに設定温度は二八度と決められていた。
はっきりいって風があるぶん外にいるほうが涼しく感じられる。
六畳一間の畳敷き。夏目、冬児、天馬は春虎の部屋に集まってゲームをしたり、ホラー映画を観て涼しもうと、年相応の学生らしいひとときを過ごしているのだが――。
「……暑い。ちょっとしたサウナじゃないか!? 設定温度二八度とか意味ねーよっ。役所か、この部屋は。こんな場所にこもってると熱中症になるぞ、マジで。……なぁ、映画やゲームにも飽きたし、ちょっと外に出ないか?」
二本のDVDも観終わり、暑さと退屈さに辟易した春虎がそう主張した。
「几に隠りて熟眠、北?を開く――。だよ、春虎」
「……そんな呪文を唱えたって涼しくなんてならないぜ」
夏目は優等生らしく柳宗元の詩句を引用してみせた。夏の暑い日は北側の窓を開けてそよ風を呼び込んで涼をとり、熟睡しよう。だいたいそんな意味だ。
だがせっかくの名詩も春虎にはなんの効果もあらわさなかった。
「心頭滅却すれば火もまた涼し。無念無想の境地に達すれば、どんな暑さも寒さも感じなくなる。春虎はもう少し精神修養をしたほうがいいよ」
白皙の美貌に汗ひとつ浮かべていない夏目。いかにも精神を律して暑さに動じていないように見えるが――。
「心的じゃなくて呪的に涼しくなってるんじゃないか?」
冬児の手が夏目のうなじにのびると、そこに貼られていた一枚の呪符をはがし取った。
「あっ」
ひんやりとした冷気が漏れる。
「水行符を冷湿布代わりに使うとは、さすがだねぇ」
「なんだよ、夏目。自分だけずるいぞ」
「な、なら春虎も使えばいいだろ。言っとくけどこれだって立派な実習なんだからね!」
「ならどうするのか教えてくれよ」
「ええと、まず術式をこんな感じで組み替えて――。呪力の注入は――」
「だーっ、めんどくせぇっ! 普通にアイス●ンとか冷え●タとか使ったほうが早い!」
「まぁ、そうだよね。でも呪力を込めれば半永久的に使用できるって点だと経済的だよ。製品化はされてないけどウィッチクラフトでも似たような呪具を作ってたっけ」
「なら天馬、そいつを少しわけてくれ」
「あはは、無理だって。でもほんとうに良くできた呪具だったんだよ。消費電力も排熱もゼロでCO2も排出しないエコな造りでさ」
とりとめのないやり取りのなか、春虎が所在なげにTVのリモコンをいじると何代か前に首相を務めたことのある政治家をはじめとする選良のみなさんや著名なコメンテーターたちの姿が映っていた。毎年恒例になっ
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