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東京レイヴンズ 異符録 俺の京子がメインヒロイン!
邯鄲乃夢 4
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〜、やだやだ。いやだねぇ、なんでもかんでも美少女化すれば良いって風潮。邪神や悪魔や死神や妖怪や魔王にはじまり、剣とか刀とか城とか、タロットが女の子とか、文房具が女の子とか、空き缶が女の子とか、ゴキブリやサナダムシが女の子とか……。そのうち道路標識も美少女化でもするつもりか? 『うちのメイドは一方通行』だの『俺の妹が右折禁止なわけがない』だの作る気か? 俺はそういうのきらいなんだよ、性別のない物を擬人化するならまだしも、あきらかに男性である神話や歴史上の人物の美少女化とか、とくにな」
「なにを言っているのかサッパリわかりませんが、肉体なぞ歴史の中では時代を写す衣装でしかないともうしあげておきますわ」
「どこぞの灰色の魔女のようなことを言う……」
「盛者必衰は人の世の理。滅びゆく宋朝に与していたずらに戦乱を長引かせる鬼道の徒を折伏しに参りました」

 この場合の鬼道の徒とは秋芳を指し、たんにあやしげな術を使うやつ。という程度の意味だ。

「鬼に横道はない。いたずらに戦火を広げ、天の定めた王朝の命数を削るモンゴル軍こそ
無法を重ねる叛徒」
「なにを言う! 重税に苦しむ民衆があいついで蜂起し、金に追われた宋の天命などすでに絶えている。代わりに元朝が天下に立って治めるべし!」

 と、これはネルグイの主張。

「禅譲もされずに剣で天下に立とうとする者を簒奪者というのだ」
「妖怪変化を使って狼藉をはたらく者がなにを言おうと詭弁にしかなりませんわ。おとなしく折伏されなさい。……見れば数多の妖物を従える霊力といい、方術の冴といい、なかなかの実力者。目鼻立ちもととのっておりますし、あなた、あたくしの弟子になるつもりはなくて? 弟子になるのなら手荒な真似はいたしませんことよ。毎日きれいな服を着させて美味しいお料理を食べさせてあげますわ」
「おまえが弟子になればオイラは姉弟子になるッス。オイラのことを師姉と呼ぶッスよ」
「俺は乳のない女には従わない、よっておまえの弟子にはならない」
「……あなた、いまあたくしの逆鱗に触れましたわよ。悪口を垂れ流す舌と手足を斬り落として甕の中で飼ってさしあげますわ」
「まるで呂雉(りょち)だな」
「おほほ、人豚のほうがお望みならそれでもよろしくてよ」

 唐の武則天、清の西太后とともに中国三大悪女として名が挙げられる漢の高祖劉邦の正室である呂雉にはおそろしい逸話がある。
 夫の死後に妾と妾の産んだ子を殺害するのだが、その妾の殺しかたが実にむごい。両手両足を切り落とし、目玉をくりぬき、毒薬で耳を聞こえなくし喉を焼いて声も出せなくしたうえで便所に置き、この処置を『人豚』と呼ばせたのだ。

「お師匠さま、ここはオイラにまかせて欲しいッス」
「ん? おい、ちょっとまてよ。包道乙を師と呼ぶとは、おまえひょっと
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