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東京レイヴンズ 異符録 俺の京子がメインヒロイン!
邯鄲乃夢 4
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かかってくるネルグイを青牛怪でてきとうにあしらいつつ新たな呪を唱える。

「オン・ハンドマダラ・アボキャジャヤニ・ソロソロ・ソワカ!」

 不空羂索観音咒。
 羂索(けんさく)とは古代インドで狩猟や戦闘に使われた捕縛用の縄のことで手に持っている縄で善人を救済し、悪人を縛り上げる。六観音の真言だ。
 拡散型の不動金縛り法。秋芳を包囲していた元兵たちはひとりのこらず呪縛された。

「――だが先にケンカをしかけたのはモンゴル軍、そっちからだろう。西夏や大理国、金を滅ぼし、平和に営んでいた宋まで滅ぼさんと牙をむく。おまえたちはどこまで侵略すれば気がすむんだ」
「天涯海角!」

 天地の果てまで征服すると言う。

「……軍隊というものは世界の果てまでも攻めていく必要はない。それは『?武』であり武の本質を汚すものだ。国境を守り抜く、自国を守る力があればじゅうぶんだろ」
「妖怪道士風情が武人であるわしに偉そうに武を説くか!」
「兵者凶器也、争者逆徳也(兵は凶器なり、争いは逆徳なり)。韃靼人は草原に帰って馬を駆り羊を追い、宋人は故郷で田畑を耕すなり、街で商売するなりして平和に暮らせ。さもないと玉帝陛下のお怒りが降るぞ」
「ざれごとを!」

 不動金縛りにかかっているにもかかわらずネルグイが一歩踏み出した。金縛りを精神力だけで強引に解こうとしているのだ。

(気合いだけで俺の呪にほころびを生じさせるとは、さすがは戦乱の世の武将。さっきの刺突も恐ろしい気迫がみなぎっていたし、本物はさすがにちがうな)

 青牛怪をうながし、距離をとる。

「おのれ妖仙、逃げる気か!」
「むりやり兵にとられた者もいるだろうし、刃傷沙汰におよぶつもりはない。だが、おまえたちがこの地にとどまり崖山の宋朝をおびやかすつもりなら、寒くひもじい思いをすることになる」

 青牛怪からおりた秋芳はしゃがみこむと地面に両手のひらを突きつけ、呪文を唱える。
 秋芳の全身から瘴気の渦が舞い上がった。
 陰なる呪力が大地にそそぎ込まれ、五気の調和を破壊する。煮立ったコールタールのように地面が泡立ち、はじけ、次々と瘴気を飛散させる。

「き、きさまなにをっ!? なにをするつもりだっ!」

 言いようのない悪寒がネルグイの総身を震わせ、思わず叫びをあげ、その叫びが終わる前に初期の霊災が発生した。
 霊災は一足飛びにフェーズ2へ、そして第二第三の霊災が発生し融合する。あっという間にフェーズ3となり実体化する。
 牛とも羊ともつかない獣毛におおわれた胴体に四肢と尾。曲がった角、鋭い牙と爪、人のような顔をした、いびつな獣。ラグとともに姿がたえず変容し続け、やがて完全に姿を定着化した。
 あらかじめ式に降ろしてストックしておいた動的霊災を召喚したのだ。
 体
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