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東京レイヴンズ 異符録 俺の京子がメインヒロイン!
邯鄲乃夢 4
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すらに貪る餓鬼たち。
 それらを掃討せんと槍を突き、剣を振るう元兵。
 餓鬼らはろくに抵抗もせずに斬り伏せられ、消滅した。

「なんだ、存外あっけないのう」

 ネルグイがひとりごちた、そのとき。

「輜重輸卒が兵隊ならば、蝶々トンボも鳥のうち、焼いた魚が泳ぎだし、絵に描くダルマにゃ手足出て、電信柱に花が咲く〜」

 内容はわからないが、あきらかに自分たちをバカにした歌が聞こえてくる。

「なに者だ!」
「やぁ、諸君。黄海の波高くして、定遠はまだ沈まぬかね」

 ネルグイをはじめとする元兵には理解不能な日清戦争時代のギャグを口にして青い牛に乗った青年があらわれる。道服を着た短身痩躯の若者で、道士のような身なりをしているくせに僧侶のように頭を剃りあげているのが特徴的だった。
 賀茂秋芳だ。
 そして秋芳の乗っている牛、これまた奇怪な牛だ。一本の角に真っ青な体色をしているではないか。

「なに者だと問うておる!」

 ネルグイは言うやいなや猛烈ないきおいで牛にむかい槍を突く。しかし餓鬼を串刺しにした刺突は青牛の皮膚にはじかれた。この牛、かなり硬い。

「こらこら、罰あたりな真似はよせ。これは青牛怪といって、かの太上老君、老子さまが乗物としたと言われる聖獣だぞ」

 実際はそれを模倣した動的霊災なわけだが、と秋芳は心中でつけくわえる。

「青牛怪といえば『西遊記』に出てきた獨角?大王(どっかくじだいおう)の別名ではないか。それと西域の大秦国の王に成りすまして好き放題したりしたと伝わる魔獣だぞ」
「お、よく知っているな。おまえさん、なかなか学があるね」
「あたりまえだ、漢の歴史を知らずしてどうして漢の国を支配できよう」
「ご立派。いまの言葉を第二次大戦中の日本人に聞かせてやりたいよ。敵性語禁止とか愚の骨頂だね、相手の国の言語を知らないで勝てると思うだなんて、戦争というものをなめているとしか思えないぜ」
「ええい、なにをわけのわからぬことを。ここにいた妖怪どもはおまえの手下だな。きさまは宋に味方するうわさの妖怪道士か」
「そうだ。宋だけに」
「ならば死ね!」

 配下に(シャア)と号令しつつ、ふたたび必殺の一撃をくり出さんとかまえる。
 剣刃が殺到するもあわてずにふところから一枚の呪符を取り出し宙に投げ打つ。

「命金行呼鉱、来。疾く」

 金行に命じて鉱を呼ぶ、来い。
 口訣を唱えると呪符――金行符は強烈な磁力を発し、兵士たちの手にした剣や槍を吸いつけてしまった。手にした武器はもちろんのこと、鞘におさめられた刀剣までもが持っていかれ、丸腰にされる。

「けんかはよせ、腹が減るぞ」
「人の糧食を喰い散らかして腹の減るようなことをしておいてぬけぬけと!」

 果敢にも素手で打ち
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