夜虎、翔ける! 3
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いま、ね。……飛車丸さんの霊気って凛として涼やか。そっちの大きなお兄さんは黒くてちょっと怖そう。早乙女先生は、なんて言うかとらえどころがないわね。夜虎君は……、とても大きくて深い。そんな感じがする」
平坂はどこか酔ったようなまなざしで一同を、そして周囲を見まわし、龍穴から噴出する霊気の渦を見上げる
「とっても綺麗。霊気って、陰陽師の見る世界ってこんなに素敵だったのね」
「まぁ、その気持ちはわかるよ」
はじめての見鬼の世界。陰陽師の視る光景。それがどんなに感動的なものかは春虎にもわかる。彼もまた今生では幼なじみの施した呪術により後天的に見鬼になったくちだからだ。
しかし平坂はなぜ急に見鬼の力を得たのか。龍脈から放出される霊気による作用によるものだろうか。そのようなことがありえるのか――。
「――まぁ、いい。それより平坂。さっき言ったようにここは危険だ。おまえも陰陽師オタクなら龍脈や龍穴のことは知ってるだろ。おれたちはいまからそれを鎮めなくちゃいけないんだ。そうしないとこの街は大変なことになる」
「工場によって長年堰き止められていた龍脈の力が、あふれ出しちゃうんでしょ」
「そうだけど、なんでそれを……」
「あたしのおじいちゃんて、神州が乗っ取ってメチャクチャにした常世神道の神官だったのよ」
「――!」
「あたしはね、常世神道の正式な継承者なの。でも先祖代々常世神を祀っていた呪術者の家系に生まれたのに、あたしに見鬼の才能がなかった。それが小さい頃からすっごく悔しくて、悲しくて……。でもさっき目覚めちゃったみたい」
「目覚めたって、おまえ……」
「ほんとうよ、まさに覚醒って感じ? 急にドクン! てきてなんだろうと思ったらまわりの景色が変わって見える。霊気が見えるようになっちゃってビックリ仰天、呪力キター! て感じ。で、この場所に。龍穴に呼ばれた気がしたの」
「…………」
「夜虎君、あたしならこの気の流れを正常に抑えることができる気がする。ううん、できるわ、絶対。だから止めないで」
「彼女は真実常世神道の後継者なら一理あるわね」
「先輩、なにをっ!?」
「呪術的儀式の行使にさいして、血筋というのはとても重要よ。なんの技術もないのに、ただだれそれの血脈。て人がその場にいるだけで修祓できる。ううん、修祓できない特殊な霊災のケースだってあるわ」
「知っていますよ、でもそのケースってのは往々にして『贄』にするパターンが多い」
「それは、たしかにそうよ」
「そんなことはできません。――平坂、おまえが当事者ってなら家に帰れとは言わないさ。おれが龍脈を鎮めるから、先ぱ――早乙女先生と一緒に見ていてくれ」
「うそつき」
「え?」
「堀川夜虎なんて偽名でしょ、ほんとうの名前は土御門春虎。指名手配中のテロリスト」
「
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