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東京レイヴンズ 異符録 俺の京子がメインヒロイン!
邯鄲之夢 3
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と、とりたてて特徴のあるもの以外の人型のものはだいたいタイプ・オーガに分類されることが多い。

「おお、こんどはまたえらく強そうな妖怪が出てきたぞ」「道姑は雨を降らせ道士は妖怪を呼び出すとは……」「秋芳先生のことは妖怪道士とお呼びしよう」

(京子は慈雨花冠で俺は妖怪道士? なんかずいぶん差があるような気がするが……)

「GAOoooッ!」

 犬頭鬼が吠え猛り、手にした棍棒を振るってみずからを生み出した呪術者に襲いかかる。だが結界に弾かれ外へは一歩も踏み出せない。忌々しげに牙を剥き、威嚇のうなり声をあげる。

「さっきの魚人ちゃんとちがってこの子は荒っぽいわね」
「このくらいの元気がないと肉体労働は任せられないからな。さて、霊を式に降ろすには力で屈服させるのが一番手っ取り早い。――緤べて緤べよ、金剛童子――オン・ビシビシ・カラカラ・シバリ・ソワカ!」
「GYAUNN!?」

 結界越しに放たれた呪術の鎖が犬頭鬼の身体を縛り上げ、責め苛むと、あっという間に音を上げて恭順の意思をしめした。
 結界内に拘束されている犬頭鬼を完全に調伏したのを確認したのち、秋芳はさらに呪力を注入。犬頭鬼から噴出する鬼気が周囲の霊気のバランスを乱しはじめる。
 黒いもやが点々と生まれ、それが犬頭鬼の姿へと変わる。最初に生まれた一体を格に、同種の動的霊災を増産しているのだ。
 規模こそ小さいがこれは百鬼夜行。フェーズ4に該当する。

「すごい! 秋芳君てば、まだこんな術を隠し持っていたのね。なんで教えてくれないのよ」
「そりゃバリバリの禁呪だからな。危険なんだよ、この術は。簡単に使役式を得ようと霊災を起こしたはいいが、制御できずに暴走した霊災にとり殺されることだってある。あと呪術によって従えた使役式ってのはかなり霊力を食う存在なんだ。調子に乗って式を作りまくったあげく、常時ガス欠状態になり術者の力そのものが低下することもある。相手の式神をのっとる術も存在することを忘れて式に頼るとひどい目に遭うんだ」

 安倍晴明を彩る伝説の中に、自分の式神を晴明に奪われた蘆屋道満がおのれの負けを認めた。というエピソードがある。
 百体の犬頭鬼がずらりと整列した。

「さぁ、親方たちの言うことを聞くようにしてあるから、ぞんぶんに使って山を開拓してくれ」
「おお、おれたちの言うことを聞くだって!? こいつはおもしろい。妖怪に命令できるなんてめったにできることじゃないから、ありがたく使わせてもらおう!」

 こうして崖山の開拓がはじまった。
 棍棒のかわりに鎬頭(つるはし)鐵鍬(スコップ)を手にした犬頭鬼たちが土行術で弱らせた岩土を親方たちの指示で削っていく。
 見鬼の応用、あるいは水行術で水源を探りあて、深く掘って新たな井戸を設けるとと
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