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東京レイヴンズ 異符録 俺の京子がメインヒロイン!
邯鄲之夢 3
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たの」
秋芳の背中に微笑みかける。呪術作業中でなく、なおかつ宋人らの視線がなければ片腕にでも抱きついているところだ。
「生臭いかどうかわからないだろ、鮎みたいな清々しい匂いかもしれないじゃないか、半魚人。その待ち望んでいた王子様は、王子様は王子様でも育ちの悪いもらわれっ子の王子様だけどな」
「鮎ってほんとうに良い匂いがするの?」
「ああ、稚魚のころは虫を食べるけど、成長すると川底についた藻を食べるから、きれいな清流に棲んでるやつは生臭さくないんだ」
「あたしどっちかっていうとインドア派なんだけど、あなたとなら釣りに行ってもいいわ。こんど教えてちょうだい」
「ああ、呪術を使わずゆっくりと釣り糸を垂らす時間も悪くな――。しまった!」
「どうしたの?」
「魚の話をしていたらついつい水気に偏って予定していたのとはちがうのができちまった」
「んぎょ」
太極図の上に手足のはえた魚が水滴を滴らせたたずんでいた。
「おお、なんと大きな鯉だ!」「陸に魚を作るとはさすが神仙」「だが手と足があるぞ、妖怪じゃないか!?」
「よりによってタイプ・ギルマンとは、こいつじゃ陸上の作業はむいてない。やり直しだ」
秋芳の手が九字を切ろうと動く。修祓するつもりだ。
「んぎょ!?」
「……ねぇ、せっかく生まれたんだから、残しておいたら。まわりは海だしこの子はこの子で活躍できるんじゃないかしら」
「んぎょ!」
「そう言われればそうだな」
「んぎょぎょ!」
あらためて儀式を続行。
混沌とした瘴気がひときわ膨れ上がり、破裂した。
中から異様な影が姿をあらわす。
剛毛におおわれた筋骨隆々とした人の巨躯に犬のような頭部と長い尾。手に棍棒を持った獣人。
身体を震わし、尾を振るその動きは生々しく、檻から解放された野生動物の躍動感を感じさせる。
そして牙を剥いたそのあぎとからは「Oooonnn――!」と、甲高い遠吠えがあがった。
フェーズ3。実体化した瘴気である魔♂A陽法が定める移動型霊的災害、動的霊災がそこに存在していた。
京子はじっと霊災の姿を視た。
「木気と土気が強いけど、それ以外の五気も偏在してるわね。……タイプ・オーガ?」
霊災のカテゴリー分けに使われるタイプ○○という名称には『外見の特徴をもとに命名する』『英語圏でも通用するような名をつける』というような不文律がある。
見た目の特徴を第一に名付けるのはわかりやすさと、命名に時間を割くのをふせぐため。英語圏でも通用というのはとうぜん緒外国への説明を意識してのことだ。欧米をはじめとした外国の人間に鵺だの陰摩羅鬼だのと言ってもぴんとこないのでオーガやキマイラといった英語で呼称する習わしだ。
手足が複数あったり目が一つだったり
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