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東京レイヴンズ 異符録 俺の京子がメインヒロイン!
邯鄲之夢 3
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霊的存在を視覚で捉らえているわけではない。気を気で感じとっているのだ。
だが人間というのは視覚に頼るところが大きい生き物で、目で見ると同時に霊気を視るのが普通だし、そのようになるだけでもそれなりの訓練を必要とする。視覚の範囲外に存在するモノを知覚できるなど、特別霊視官クラスの見鬼能力でもないと無理だ。
龍脈の流れを読むにはそのくらいの見鬼能力を必要とする。しかも如来眼の持ち主には流れを見るだけにとどまらず、その流れを自在にあやつれるという力までそなわるのだ。
あやつれるといってもそう簡単にはいかない。膨大な量の霊気を御するには先天的な能力や才覚だけでなく後天的な技術や経験も必要だ。一歩まちがえれば龍脈に飲み込まれ、喰われるか、あるいは膨大な気に肉体も精神も押し潰され死に至る。
それだけではない。暴走した龍脈が周囲にあたえる影響は想像もつかず、下手をすれば土御門夜光が執り行い、失敗したとされる禁呪の儀式『泰山府君祭』と同じかそれ以上の被害をもたらす可能性もあるのだ。
京子はそれを制御している。
京子の倉橋家は土御門家の分家筋にあたる旧家、陰陽道の名門であり、幼いころから祖母をはじめ倉橋門下の人間――プロの陰陽師たちから日常的に呪術の手ほどきを受けて育ってきた。さらに本人の資質や努力もあって非常に高い霊力と技術を身につけている。
だからこそ先ほどのように自身の霊力に龍脈の気を乗せて呪術を行使するようなことができたのだ。
だがそれがいつも成功するとはかぎらない、どんなに研鑽を積んでも失敗する確率はある。そして一度の失敗ですべてが無に帰す。強大な、あまりにも強大で危険すぎる諸刃の剣。龍脈を個人であやつるということはそういうことだ。
このような力の持ち主を陰陽庁が知れば放置したままにはしないだろう。
「それになんか物騒な言い伝えもあるのよね〜。如来眼が顕現すると世が乱れるって」
「その力を手に入れようとする時の権力者らに狙われることで、世を乱す火種になるって話だろ。まったくいい迷惑だよな」
京子が如来眼に目覚めてから二人は文献をあさり、その力について調べた。するとかならずそのような記述があるのだ。
「……もしあたしが悪い人たちの手に捕まったら秋芳君が助けに来るの。それでそいつらをやっつけてから、あたしをお姫様だっこして悠々とお城をあとにするのよ」
「お城ってなんだよ、お城って。どこから出てきたんだ? よくわからない妄想だな。しかし君に囚われのお姫様願望があるなんてちょっと意外だなぁ。それとお姫様だっこじゃなくて半魚人持ちな」
「お姫様だっこでいいでしょ。いやよ半魚人持ちだなんて、なんか生臭そうで。願望っていうか実際あたしお姫様なのよね、倉橋の箱入り娘だから、そこから助け出してくれる王子様をずーっと待ち望んでい
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