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東京レイヴンズ 異符録 俺の京子がメインヒロイン!
邯鄲之夢 3
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を人々が認めて、食料増産のめどが立ったからにほかならない。
 親方たちの指示のもと、犬頭鬼たちがすさまじい早さで地形を変えていくのを遠目に見ながらつぶやく。

「ソロモン王は七二柱の魔神を使役して壮麗な宮殿を建てたという伝説があるが、彼も魔術呪術の使い手だったのかもなぁ」
「ええっと、ソロモン王てダビデ王の子で……、イエス・キリストより前の人よね?」
「そう。キリストよりずっと昔。モーゼがエジプトを脱出して荒野をさまよい、多くの苦難を味わってヨシュアに後継をたくしてさらに数代へたあとの人物で古代イスラエル王国を繁栄の絶頂に導いた偉人だ。だが国民に増税や苦役を強いる拡張政策で大衆は大いに不満をいだいたといわれる。このソロモン王の死後、後継者問題などで国内が乱れ、北と南の二つに分裂してしまい、やがて北はアッシリアに南は新バビロニアによって滅ぼされ、人々は奴隷にされてバビロニア地方へ奴隷として連れ去られる。これが世界史でいうバビロン捕囚のはじまりで――」
「…………」
「――おなじ時代だと中国は殷周革命のころで、ヨーロッパではトロイア戦争があったころかな、史実というよりも神話と伝説に彩られた歴史の黎明期のできごとだ――」
「…………」
「――ポルトガルのように一時は世界の多くを支配しながらも世界史の表舞台から退き、小国として存在し続けたりすることもあれば、カルタゴのように繁栄を築いたにもかかわらず一瞬で滅亡させられた例もある。……宋の時代の中国といまの日本も似ているが、日本はカルタゴとも共通する部分が多いんだよなぁ。日本もこれからどうなることやら……。て、俺の話は退屈だったか?」
「ううん、そんなことないわ。とってもおもしろいわよ、お話があっちこっちに飛び火するところとか、すんごいあなたらしくて」
「そ、そうか。なら良いんだが……」
「あ〜、あのね。ちょっといい?」
「うん?」
「歴史を学校で教えるさいに現代から歴史を遡って教えるのが生徒に興味を持たせるために良い。て話をたまに聞くんだけど」
「ああ」
「あれ、逆にわかりづらくない? たとえば今の話だって、イスラエルて国家を考える場合は第二次世界大戦後だけを調べれば良いってわけじゃないでしょ。なんでその土地を追われたのか、ユダヤ人の迫害の歴史とか、過去の関連した出来事を知ってはじめて理解できるものじゃない」
「そのとおり」
「なのになんでそんな教えかたをするのかしら」
「う〜ん、ほんとどうしてだろうな」
「どうしてかしらね」
「だいたい歴史に興味のないやつに外野がいくら働きかけたって興味なんか持つわけがないんだからほうっときゃいいんだ。どうしても興味を持たせたいんだったらその時代を舞台にしたおもしろい映画や小説や漫画でも見せればいい。教科書を読んで歴史が好きになるやつなんて
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