暁 〜小説投稿サイト〜
東京レイヴンズ 今昔夜話
夜虎、翔ける! 2
[34/36]

[8]前話 [1] [9] 最後 最初 [2]次話
車丸を狙う。受け流そうと搗割をかかげた瞬間、地州の刀がぐにゃりとまがり、切っ先が肩を突く。

「ぐっ!?」
「うっ」

 一瞬だが意識が遠のく。まるで貧血になったかのように目の前が暗くなり、全身から力が抜け落ちる。夜光の双璧と謳われた二体の式神は不覚にも膝を屈してしまった。

「その刀、普通じゃないな……」
「くっくっく、わが愛刀丹蛭(にひる)の切れ味はどうだ?」

 地州は手にした刀を自慢げにかかげた。血に濡れたかのように赤い刀身からは禍々しい妖気がただよっている。

「斬った相手の血肉をすすり、魂を喰らって持ち主の活力とする。よくできた刀だろう」
「かすり傷ひとつでこれかよ、なかなかどうして食い意地のはった刀だな」
「持ち主に似て貪欲なのだろう」

 齢一〇〇〇年を経た頑強な鬼の身体に傷をつけられるだけの殺傷力。それだけでもおどろくべきだが、それにくわえて生命力や霊力を奪取する能力まで有している。これはますますあなどれない。

「それに先ほどの奇妙な動き、気をつけろ。あの刀は鞭のようにしなるぞ」
「そのとおり、こんな具合になっ!」

 横殴りの一閃が飛車丸をおそう。搗割を盾にしてふせごうとするも、受け止める寸前に丹蛭の刀身が湾曲し飛車丸の腕を裂いた。ラグが走り、霊力を奪われる脱力感におそわれる。

「くっ……」
「やっかいだな、まるでショーテルだぜ」

 ショーテルとはエチオピアにつたわる刀剣で、刀身がS字型や半円を描くように大きく湾曲しているのが特徴の特殊な武器だ。この形状の目的は斬りつけるさいに敵のかかげた盾や剣をかわして攻撃を命中させることにある。

「わが変幻自在の剣筋、かわせるものか!」

 地州自身の技量に妖刀の能力がくわわり、目にも止まらぬ剣さばきを生み出している。

「哈ァァァッ!!」

 横合いから角行鬼が渾身の一撃をくりだした。飛車丸への攻撃にかかりきりになっている地州に対する側面からの攻撃。命中率よりも打撃力を重視した大ぶりの一撃は狙いどおり命中した。
 たとえ霊力呪力によって肉体を強化してあったとしても、ただではすまない。ガードすればガードの上から、回避すればあふれ出る呪力で霊障を負わせる。
それほどの威力をこめた攻撃に地州は絶命はしないまでも昏倒するはずだった。

「なにっ?」
「ふふっ、効かぬなぁ」

 地州の全身から光り輝く霊糸がのびて全身をつつんでいた。鎖のかわりに糸でできたチェインメイルさながらの鎧によって鬼の一撃によるダメージをほとんど吸収し、地州自身はなんの痛手も受けていないようだった。

「トコヨとかいう腹中虫の糸か!?」
「トコヨ様、もしくは常世神と呼ばぬか、不信者め。これは私が直々に復活なさしめたオリジナルの常世神だ。信者ど
[8]前話 [1] [9] 最後 最初 [2]次話


※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりをはさむしおりを挿む
しおりを解除しおりを解除

[7]小説案内ページ

[0]目次に戻る

TOPに戻る


暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ

2025 肥前のポチ