夜虎、翔ける! 1
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、そこに赤子のこぶし大ほどの赤茶けた木の実が残っていた。おそらく常世神の形代だろう。
手に取りじっと見つめる。
「常世神……常世の国……不老不死の……。これは、まさか非時の実か!」
古事記や日本書紀の時代。ときの帝だった垂仁天皇は配下の田道間守を常世の国に遣わして非時香菓と呼ばれる不老不死の霊果を持ち帰らせたという伝説がある。
この非時の実という霊果の種から芽生えた木はやがて『たぢまもりの花たぢの花』すなわち橘と呼ばれるようになったという。
「田道間守が非時の実を持ち帰ったときにはすでに垂仁天皇は崩御したあとで、彼はその実の半分を垂仁天皇の皇后に献上して残りを垂仁天皇の御陵に捧げたって話だが、それがどうしてこんな場所に……。多嶋と田道間……、どっちも読みが一緒だけどこれは偶然か?」
「…春虎様、この手の推論は早乙女が得意かと」
「……そうだな、明日にでもすず先輩を連れてきて見てもらうことにしよう」
飛車丸のこともある。これ以上の調査や探索はひかえて、きた道をもどって外へと出たとき、校内をつつむ異様な妖気を感じた。
なにものかの悪意に満ちたよこしまな呪力がただよっている――。
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