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ドリトル先生と春の花達
第六幕その八
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「万葉集にはその頃の和歌が収められていますね」
「雄略帝の歌ですか」
「そうだったかと、少なくとも七世紀の歌が収められていますね」
「額田王や天智帝の」
「そうした歌も観ますと」
「長い歴史ですか」
「そう思います」
 こう言うのでした。
「長く美しい歴史ですね」
「そう言って頂いて何よりです」
「詩が深く心にあることは」
 和歌、それがです。
「素晴らしいいことです」
「そして先生もですね」
「その日本の心を楽しませて頂きます」
「それは何よりです」
 日笠さんは先生ににこりと笑って応えました、この日はこうして須磨の海を楽しく観ていました。
 そうしてお家に帰ってからです、先生は言うのでした。
「いや、今日はよかったね」
「うん、僕達もそう思うよ」
「今日はかなり進展があったからね」
「ベストじゃない?」
「今日のこの調子でいけばね」
「先生の春も来るよ」
「やがてはね」
「いやいや、僕の青春はもう終わってるよ」
 春と聞いてそちらと思う先生でした、それで皆にも言うのです。
「大学院を出た時にね」
「まあそうだけれどね」
「青春時代はね」
「先生の清酒時代って本ばかりだったみたいだけれど」
「学問ばかりで」
「今と変わらないね」
 先生の青春時代はというのです。
「それはね、けれどね」
「いいものだったんだよね」
「決して悪い青春時代じゃなかった」
「そうだったんだね」
「学問に励めて友達も多かったし」
 だからだというのです。
「とてもね」
「楽しかったんだね」
「いい青春時代だったんだね」
「本当に」
「そうだったよ」
 こう言うのでした、ですが。
 皆の思うところは違います、それで言っているのです。
「まあ僕達の言う春は違うけれどね」
「そうした青春じゃなくて」
「もっと違うんだ」
「そうした春じゃないよ」
「ただ先生ってね」
 ジップが先生に言ってきました。
「恋愛には縁がないと思っていても研究をするんだね」
「あっ、そうだよね」
 チーチーも言います。
「文学のそれの研究もしてるし」
「小説や詩に書かれてるそれを細かく研究して論文も書いてて」
 ホワイティが見てもそうです。
「評価されてるんだね」
「つまり先生は恋愛にも詳しい」
 老馬ははっきりと言いました。
「それは確かだね」
「ただそれは学者さんとしてで」
「実践はないんだね」
 オシツオサレツはこのことを指摘しました。
「つまりはね」
「そうしたことだね」
「つまり学問としての恋愛だね」
 ガブガブもこう看破しました。
「先生の恋愛は」
「自分には縁がないと思ってるからね」
 トートーはこのことが残念でした。
「あくまで見てのことなんだね」

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