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東京レイヴンズ 異符録 俺の京子がメインヒロイン!
邯鄲之夢 2
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わさびをのせて醤油をつけて、皿を手に持って口に運ぶ。などなど――。
「まぁ、さすがに箸くらいはまともに使えるけど堅苦しいのはきらいだよ」
箸をつけたものを食べずに、次の料理に移る移り箸。
器から器へとうろうろ箸を回す迷い箸。
ご飯などに、仏様のお供えのように箸を刺す突き立て箸。
器の中の料理を箸で探る探り箸。
皿やお椀に箸を渡し置く渡し箸。
器を箸で寄せる寄せ箸。
箸をなめるねぶり箸。
料理に箸を刺して食べる刺し箸
同じお菜をいつまでも食べ続ける箸なまり。あるいは重ね箸。
箸を楊枝の代わりに使うせせり箸。
箸で人を指したり、振り上げたりする振り上げ箸。
これら箸の禁じ手の中には見映えが悪いというだけではなく縁起が悪いといわれるものもあるので、縁起をかつぐ陰陽師としては気にしたいところだ。
もっともその陰陽師が活躍した平安時代では宴の作法に『お客はまず箸を手にして飯に立てる』というのがあったようだし、貴族の間では不作法だった汁かけご飯が武士の間では正式な食事作法だったりと、時代や状況によって変わるので気にしていてはきりがないのだが――。
「店の食事じゃあないが刀会の打ち上げに一席用意してある。今夜は――。といってもこっちじゃなくてあっちの今夜だが、そこで気どらない食事をしよう」
「あらそう、じゃあ楽しみにしてるわ」
現代の日本ではよほど田舎にでも行かないとちょっと見られないような星空を天蓋に、いつしか二人は眠りについた。
そして翌日。眠っている間にでも現実世界へ帰還するかとも思ったがそうでもないらしい。いつでも夢から覚める心の準備をしつつ崖山の周囲を散策し――。
夕方となった。
すでに丸一日は経過している。
「……ねぇ秋芳君、もうとっくに目が覚めてる時間よね。なんかまだこっちの世界にいるんだけど」
「……ああ、なんでかな」
「なんでかな、じゃないわよ! もう、……ちゃんと二四時間で設定したんでしょ?」
「ああ、間違いない」
「こっちの時間で、二四時間よね?」
「お、おう」
「本当に? まちがえて『むこう』での二四時間にしちゃった可能性は?」
「……ま、まぁ、はじめて手を触れる呪具だし、慣れなくてそうした可能性もなくはないが」
「もしその場合はあそこで丸一日寝っころがったままになっちゃうのよ。ネズミに耳でもかじられたらどうしてくれるのよ」
「その時は一緒にダメな眼鏡男子を手助けする猫型式神になろう」
「冗談はいいから、むこうとこっちの時間差ってどのくらいになるの?」
「ええと、元祖『邯鄲の夢』だと夢の中で何十年も過ごしたのに現実では寝る前に火にかけたお粥がまだ煮揚がってさえいなかったそうだから……。一秒が一年くらいかなぁ」
このあたり
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