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ナニイロセカイ
*裏切りの世界  
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でいる可愛い幼馴染だって、ケモ耳の妖怪にだって、植物や昆虫やスライム、なんにだってなれるんです。本の数だけ無数に。

さあ行きましょう。いざ物語の世界へと。

「―――ちゃん」

いつも嫌な意味でタイミンクがいいじゅっちゃんのご登場です。
開いた教科書を引っ張り上げ没収されてしまいました。ああ、わたしの物語の世界へダイブするための鍵が奪われてしまいました。

わたしの目の前で仁王立ちして嬉々として話しかける旧友のじゅっちゃん。今でも親友のじゅっちゃん。
まだ入ったばかりで慣れないクラス、わたしもじゅっちゃんもまだ友達と呼べるような存在をクラスの中に作れていません。だからじゅっちゃんは毎日休み時間になるとわたしに話しかけます。
毎回グループ分けになるとわたしのところにやってきます。ありがとう、本当はぼっちの悲しい子なのにそうじゃない、ちゃんと友達がいる普通の一般人だよってカモフラージュをしてくれて。

まるでそれが当たり前であるかのようにじゅっちゃんはわたしの前に現れます。

休み時間になると決まって現れるじゅっちゃんのことを鬱陶しいと感じることもありますが、わたしにはそれを邪険にできるほど気も強くないので、いつも即興のぎこちのない作り笑顔で答えぎこちのない聞いていて何が楽しいのか分からない会話をして、一方的に喋り続けるじゅっちゃんの話に頷うなずき続けます。気持ちが悪い作り笑顔をキープしたまま気持ちの悪い相づちをするんです。

キーンコーンカーンコーン。

また一つ休み時間が終わりを告げました。わたしの憩いの時間も終わりを告げました。
今日は物語の世界へダイブしようと思っていたのにできなかったな。

「鳴っちゃった。じゃあまた次の休み時間でねっ」

満面の笑みで手を振り自分の席へ戻っていくじゅっちゃんを生暖かい視線で見送ります。顔は気色の悪い作り笑顔のまま手を振って。

この退屈な時間は、日々はいつまで続くのかなと重いため息が出ました。
でもこの時間はそう長くは続きませんでした。だってあのじゅっちゃんですよ?

あの日から二週間たったある日の朝のことでした。

「でさ〜」
「うんうんっ」
「本当!?」

朝学校へ登校してくると、いつもは遅刻ギリギリにやって来るじゅっちゃんが楽しそうにクラスの女の子達と話している姿がありました。知らない子なので小学生は別々だった子達です。

そうかクラスに友達が出来たんだねじゅっちゃん。良かった、楽しそうに笑う彼女の笑顔を見ているとわたしまで嬉しい気持ちになってきます。

わたしも友達を作らないとな。だってじゅっちゃんという諸刃もろはの剣つるぎがいなくなってしまったら、わたしにはこのコンクリートジャングルというダンジョンで戦う武器がありません。素手で野
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