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東京レイヴンズ 異符録 俺の京子がメインヒロイン!
刀会 3
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むしるような、不快で気味の悪い、動物じみた声だ。
「なんだ?」
学生らが顔を見合わせた瞬間、そのうちの一人がなにかに引っ張られるように倒され、最後尾のドア付近まで引きずられていった。
悲鳴をあげて両腕を突き出し、なにかを避けるように必死に身をよじる。
あっけにとられた乗客の視線をあびる中、突き出した腕がじりじりと内側に曲がり、ぞぶり。と音をたてて切断された。動脈から噴き出た鮮血が車内を朱に染め、床いっぱいに広がる。
「ウワーッ!?」
周りの乗客らがいっせいに悲鳴を上げて跳び上がる。
その時、血溜まりの中でなにかがうごめいた。ぴちゃぴちゃと音をたてて血溜まりの上を波紋が駆け抜け、床の上に獣の足跡がついた。それが他の乗客にむかって一歩一歩近づいてゆく。
「キャー」「助けてッ!」「人殺しだ!」
叫びながら乗客たちは別の車両に駆け込んで行った。獣の足跡は彼らの後を追って前の車両に入り込む。
わけがわからずに足跡の前に立ちはだかった男は一瞬の間に首をかき切られていた。
新たな犠牲者の悲鳴が響き渡る。乗客たちは恐慌状態になって前に前にと、前の車両に逃げ込んで行くなか、その男がいた。
肩幅よりも大きく脚を開き、のけぞるようにして座席シートに座っている。齢は二十歳前後、細身であご先など鋭角的ですらあるのだが弱々しい印象はない。
銀色に染めた髪を短く刈り込んでおり、ミラーコーティング・レンズのサングラスをかけていた。耳には複数のピアスファーつきのジャケットに胸元を飾る光物のアクセサリー、シルバーバックルのスタッズベルトにウォレット・チェーンの絡まるデザイン・ジーンズ。足には光沢のあるエンジニアブーツを履いていた。
なにより異様なのは額にある×印型のタトゥーだ。見るからに剣呑で、見る者を不安にさせた。
そしてもうひとつ。男のかたわらに立てかけてある刀袋もまた禍々しい剣気を放っていた。
不遜な冷笑を浮かべ携帯音楽プレイヤーから流れる音楽をイヤホンを通して聴いていたが、悲鳴をあげて目の前を通り過ぎる乗客たちを軽く一瞥すると、彼らの逃げてきた方向を見やる。
「……仕事増やしやがって」
ゆっくりと立ち上がると必死になって前の車両に逃げようとする乗客たちを悠々と押しのけ、進んで来る獣の足跡の前に立ちふさがる。
キーン――。
刀袋の中の刀がなにかをうったえかけるかのように鳴いた。
「よく見えねぇな。……
風狸
(
ふうり
)
か? いや、
野衾
(
のぶすま
)
だな」
風狸、野衾。いずれも伝承に登場する妖怪の名であり、陰陽庁が指定する動的霊災の一種だった。
キーン、キーン――。
刀が鳴く。まるで自分を使えと言っているかのように。
しかし男は刀の訴えを無視してわずらわし
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