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東京レイヴンズ 異符録 俺の京子がメインヒロイン!
刀会 3
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「お、男塾先輩ぃ〜?」
「押忍! ごっつあんです、男塾先輩!!」
「い、いやあの、男塾て……」

 そんなヘンテコな名前があるものか。そう思った桃矢だったが朱音は素直に受け入れて実に良い返事をする。
 琥珀が土行符を発動する前に間合いをつめて倒す。それが珊瑚の狙いだった。だがしかし――。
「甘いわね」

 上から下への唐竹、真下からの逆風、右肩を狙った逆袈裟切り、左胴を斬り上げようとした逆胴、そして石突きによる刺突。
 珊瑚の続けざまの攻撃。琥珀はそのすべてを華麗に回避した。

「水中でも足の速さがまったく衰えない! 足が水に浸かっているのに、なんであんなに自由自在に動けるんだっ!?」
「琥珀ちゃんも足に土行符を貼っているの!?」
「ぬぅ、あれは」
「知っているんですか!? お……、男塾先輩?」
「あれは呪術の類ではない、体術だ」
「体術!?」
「ああ、あれだけ激しく動いても琥珀の周りの水面は乱れていない」
「あ、ほんとうだ」
「逆に土行符を使っている珊瑚さんのほうは足もとにかすかにラグが見えますね」

 式神や霊災、呪術によって生じた物体などの霊的存在は物理的影響力を持つ立体映像のようなものであり、そこにあるように見えても実際にそこに物質があるわけではない。なので物理的・霊的に強い干渉を受けると構成が乱れてラグが出る。

「水の抵抗を受けないほどに琥珀の足の動きが速いんだ!」
「「「「な、なんだってー!?」」」」

 これには周りの観戦者達もびっくり。

「武道の歩きの基本はすり足だが、あのようにひざ上まで水がきていると、すり足で移動しようとしたら水の抵抗をまともに受けて効率が悪い。必然的に足全体を持ち上げての歩き方になり、まずは膝を上げる動作が重要になるが、琥珀の膝を上げる速さは常人の目では追えないほどだ。その異常な速さが足が水面に出る時に起こる水しぶきを抑えている。琥珀のすごさはそのような基本領域がきわめて高いことだ。基礎に差があるかぎり、どんな奇策をもちいても勝つのはむずかしいだろうだろう」
「ふふっ、そういうことよ、考えが浅かったわね珊瑚。水を使って足の動きを封じるつもりだったんでしょうけど、そんな姑息なたくらみなんて私の武には通じないわ」
「くっ……」

 呪術によって地の利を生じさせて戦おうとした珊瑚の策は失敗した。かのように思えたが――。

「まだ終わってはいませんわ。――急急如律令(オーダー)!」

 水を流し続ける水行符の術をリライト。膝上まであった水が一瞬で蒸発し、濛々たる霧に姿を変えた。鉛色をした濃霧は一寸先も見えないほどで、視界をさまたげる。
 普通の霧ならば目くらましにはならない。見鬼の持ち主なら肉眼ではなく霊感で相手を視る≠アとができるからだ。暗闇をナイ
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