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東京レイヴンズ 異符録 俺の京子がメインヒロイン!
刀会 3
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「うふふふ、やったな〜。うふっ、うふふっ、おまえらみんなまとめて相手してやる!」

 絶叫し、哄笑するシェイバの異様なさまはいよいよ狂人じみていた。

「おい、あれはシェイバじゃないか?」
「そうだ、鏡独立官の!」
「げぇっ、シェイバ!」
「なにやってやがる、暴走してるのか!? 早く生徒達を避難させろ、人死にが出るぞ!」

 ここにきて周りの観客達が動いた。彼らの多くは陰陽庁勤めの現役祓魔官や呪捜官だ、いざとなると動きは速い。生徒や自分らに防御結界を展開し、呪符を手にして舞台に急ぐ。

「そいつに、シェイバに近づくな! 危険すぎる! 遠巻きにかこんで呪術で黙らせるんだ!」
「おいよせ、生徒達を巻き込むぞ!」

 なかには観客席から呪術を行使する者までおり、会場は混乱のありさまを見せた。

「動くな」

 騒然とする会場に静かな声が響いた。本来ならば人々のざわめきにかき消されてしまう程度のつぶやき声にもかかわらず、拡声器を使ったわけでもないのに、そのつぶやきはその場にいた全員の耳に入り、身体の芯にまでズン、と響き、染みわたった。
 それはまるで静かな雷鳴、無音の怒号のようだった。その声を聞いた者はみな動きを止めた、シェイバとて例外ではない。みながみな、強制的に止められたのだ。声に強力かつ精緻に練られた呪力が込められている。
 甲種言霊。声を通じて相手の精神に働きかける強制力をもった言葉。

「どいつもこいつも人の式神かこんでなにやってやがる。巫女どものお遊戯はもう終わったのかよ?」

 すべてを見下し、揶揄するような独特の口ぶり。鏡伶路だ。
 それまで混乱状態だった会場は鏡の登場により逆に凍りついたかのようになった。たんに甲種言霊で動きを止めたからではない。空気が、場の流れそのものを変えてしまったのだ。
 鏡と面識のある者もそうでない者も、その霊気の強大さと禍々しさに絶句した。

「お、鬼喰らい(オーガ・イーター)……」
「げぇっ、鏡!」

 会場のそこかしこからそんな声が漏れると、鏡は顔をしかめた。

「今、くだらねぇ呼び方したやつはだれだ? その名でオレを呼ぶんじゃねぇ。オレの名は鏡伶路だ。十二神将相手にチョーシくれてっと、耳かきでほじり殺すぞ」

 重苦しい沈黙。それを破ったのは一人の祓魔官だった。

「か、鏡独立官。これはどういうことだ、あなたの支配下にあるはずの式神が突然乱入して狼藉におよんだんだぞ。説明してもらおう」
「よくあることだ」
「……は?」
「こいつがトチ狂うことはよくあることだから気にするな。以上、説明終わり」
「なっ……」

 鏡のあまりの非礼さに唖然とし、続いて怒りをおぼえる群衆だったが、その圧倒的な霊気に威圧されて文句を言う者は一人もい
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