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東京レイヴンズ 異符録 俺の京子がメインヒロイン!
刀会 3
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あの男子のいるチームが優勝したらしく、トロフィーを授与されているじゃないか。
 あの子が一番強いんだ。
 ああ、斬りたい。
 あの子を、いや、他のだれでもいい。戦える者を斬りたい。
 そのようなことを考えているうちに、シェイバの理性は霞のようにかき消えていった。
 ぶつぶつとうわごとを口にし、ゆらりゆらりと酔ったような足どりで歓声をあげる巫女達の列に近づく。





 連戦形式は消耗が激しい。全身に生傷を作り、痛みと強い疲労感にさいなまれるも、桃矢は満ち足りた気分になっていた。
 まさか自分が、緋組拾参番隊が刀会で優勝するだなんて、数ヶ月前なら夢にも思わなかっただろう。
呪術とも異なるその異能の力ゆえに居場所をなくした自分に道を示した大友先生。その道をともに歩いてくれる拾参番隊のみんな。
 そして強くなるよう稽古をつけてくれた特別講師の賀茂秋芳に感謝の気持ちでいっぱいだった。
 そういえば秋芳先生はどうしたのだろう? 見に来ると言っていたが結局最後まで姿を見せなかった。
 秋芳の姿がないものか、ふと周りを見回した桃矢の視界に抜き身の刃を振り上げるシェイバの姿が写った。
 目が合った瞬間、シェイバがニイと笑い、消えた。
 シェイバが消えた。いやちがう、跳んだのだ。

「――ッ!?」

 袈裟斬りにされ、鮮血をまき散らして絶命する自分の姿が脳裏に走る。だがシェイバの刃は桃矢の身体にとどくことはなかった。
 桃矢の前に割り込んだ者がいた。額に大往生と書かれたどじょう髭の男。

「お、男塾先輩!?」

 斬撃を左右二つの拳ではさんで止める、双拳白刃取りで髭切の刃をふせいでいた。

「乱心者が!」

 左足が上がりシェイバの右脇腹に吸い込まれるように叩きこまれた。肝臓を狙っての中段蹴り。常人ならば悶絶必至の急所攻撃だったが、シェイバの表情に変化はない。
 かすかにラグを生じさせただけで、さしたる痛手にはなってなさそうだ。

「邪魔しないでよ! じゃ〜ま〜いいか、ジャマイカコーヒー!」

 叫びとともに圧倒的な霊気が放たれる。
 強烈な戦意、破壊衝動と殺人欲求が突風と化して周りにいた巫女達を打ち据え、吹き抜ける。
 剣気だ。
 いつぞやの骨喰藤四郎の放った剣気と同じかそれ以上の剣気がほとばしり、巫女達を、さらには遠巻きにしていた見物人達までも恐怖で縛りつけた。巫女のなかには失神してしまう者もいる。
 桃矢もまた圧倒的な剣圧にさらされ、尻もちをついた。足に力が入らない、まるで腰が抜けたようだ。

「たらら〜♪ 川原ワラワラ〜♪」

 さらに力まかせに刀を押し切り、白刃止めされた状態のまま刃は男塾先輩の左肩から胸にまで深々と斬り込んだ。
 激しいノイズの混じった映像のように男塾先輩
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