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東京レイヴンズ 異符録 俺の京子がメインヒロイン!
刀会 1
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、と――。





 翌日。

「ああ、いいぜ。……正直京子の式神は強すぎてこまってたんだ。同じ生身の塾生とガチで訓練できるなんて願ったりかなったりだぜ」

 桃矢との模擬戦の話を秋芳から聞いた春虎は二つ返事で承諾した。
 自己紹介をすませたのち、さっそく放課後に地下の呪練場で模擬戦がおこなわれた。

「せいっ」

 桃矢の竹薙刀の切っ先が円を描く。春虎はかまえた錫杖の石突きを跳ね上げて鋭く受け流すと同時に輪先を反転させて打ち込んだ。
 よける。桃矢は右に左に体をうつして、春虎の攻撃をたくみにかわす。けして正面から受けたりせずに受け流す。
 春虎の手にある錫杖は担任講師である大友陣が呪力付与した特製の呪具で、大量の霊力を消費する代わりにその霊力を呪力の刃に、あるいは盾にと変幻自在に姿を変えて戦えることができる逸品だった。呪術は未熟でも霊力の強い春虎にとって理想的な武器であり防具といえた。
 これでは桃矢のほうが不利に思えるが、霊力の差を技術で埋めていた。霊力(ちから)では春虎が、技では桃矢が勝る。
 そして呪術の腕では――。

「お、急急如律令!(オーダー)」
「うわっ、急急如律令(オーダー)!」

 木行苻から生じた蔓を金行苻の刀が切り裂き、水行苻の水流を土行苻の石がせき止める。

(二人とも呪術となるとまだぎこちないな)

 一応は五行相剋のセオリー通りだが、両者ともになんともたどたどしい。できれば五行相生を利用した攻めをして欲しいものだが、呪術は座学がメインの一年生にそこまで求めるのは酷だろう。
むしろよく動いているほうだ。

(あとは馴れだな、場数を踏めば自然に相生相剋。五行の連環ができるようになる。……うん? 桃矢のやつ、なにか仕込んだな。春虎は気づいてない、か……)

 秋芳がそんなことを考えていると勝負がついた。たがいの呪苻が舞う中を裂いて春虎の錫杖が桃矢の胴に入った。のだが、苦痛の声をあげたのはしかし春虎のほうだった。背中に一枚の札が貼りついている。
 札には漢字でも梵字でもない、模様のような奇怪な呪字が書きこまれていた。その文字が意味するものは等返害。等しく害を返したり。
 ダメージを受けたさい、それを相手に返す呪だ。本来ならばそっくりそのまま損傷を送り返すのだが、今の桃矢の呪力では痛みのみを返すのがせいいっぱいだった。

「それまで。たがいに技あり。と言いたいところだが、春虎のほうが有効だな」
「よっしゃ!」
「おいおい春虎、あんまり調子にのるなよ。桃矢の呪力が高かったら今のはやばかったんだぞ」
「高かったら、の話だろ」
「まぁ、たしかにそうだな」

 げんに春虎は五体満足で立っている。戦いに『たら』『れば』の話など不要だ。
 秋芳はかつて剣道家が不
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